2021 Fiscal Year Annual Research Report
細菌の持久能力とその多様性の解明:最大遊泳航続時間を実測する
Project/Area Number |
21H02096
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八幡 穣 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10586457)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高部 響介 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60821907)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 海洋細菌 / 遊泳運動 / ビデオ顕微鏡 / 微生物生態学 / 海洋微生物 / 持久力 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの細菌は遊泳に必要な鞭毛遺伝子を持っており、実験室で培養して顕微鏡観察すれば、活発に遊泳する様子を観察することができる。こうした遊泳能力は宿主への感染や物質表面への付着といった様々な細菌の活動に重要である。一方で、海や湖といった実際の環境中で、細菌がどれほど実際に遊泳しているのかは不明な点が多い。これは、遊泳にはエネルギーが必要(主に遊泳に必要な鞭毛の合成と維持に)であるのに対して、海や湖といった実際の水圏環境は栄養に乏しいためである。本研究では、実際の現場・実環境(in situ)で細菌がどれだけ長い時間遊泳を続けていられるのか、つまり細菌の「細胞持久力」とその多様性の解明を目す。このために栄養の乏しい実環境で細菌が泳ぎ続けることのできる時間を測定する手法を開発し、さまざまな細菌種のあいだで体系的な比較を行う。本年度は、細菌を日単位で安定した遊泳状態に保つマイクロ流体デバイス装置の試作を行う。具体的には微生物の遊泳行動を長時間にわたって安定的に顕微鏡観察できる新規なマイクロ流体デバイス装置を設計、製作、試験した。 1. マイクロ流体デバイス装置の構築: 十分な通気と攪拌を確保したリザーバーに細菌を保持し、定期的にポンプで観察チャンバーに送り込むことで常に安定した状態の細胞を顕微鏡観察できるマイクロ流体デバイス装置を構築した。この装置による100時間以上にわたり、観察が可能であることを確認した。 2.顕微鏡画像取得システムの構築:顕微鏡制御ソフトウエアにより自動的にビデオ撮影し、海洋細菌の遊泳行動を長時間にわたって記録するシステムを構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画項目1,2とも所期の成果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、2種類以上の細菌種において遊泳行動の長時間観察を行うと共に、遊泳速度、方向転換頻度などの経時変化を分析するソフトウェアの開発を行う。
|