2023 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive analysis and application of a bacterial Levoglucosan metabolism involving novel enzymes
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21H02101
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
吉田 信行 静岡大学, 工学部, 准教授 (10273848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伏信 進矢 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00302589)
北岡 本光 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60353984)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | levoglucosan / Bacillus smithii / crystal structure / beta-elimination / ABC transporter |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)レボグルコサン(LG)代謝経路における新規酵素の立体構造の解明と反応機構の解析 好熱菌S-2701株のLG資化に関与するlgdA,lgdB1,lgdB2,およびlgdCの4つの遺伝子について,大腸菌を用いた発現系を構築しており,それぞれ活性を有する高純度のタンパク質の調製に成功している.このうち新規酵素であるLgdB1について,前年度からの検討で明らかとなった立体構造をもとに,反応機構の推定を行った.活性中心の構造から,酸・塩基触媒として作用するヒスチジン残基,Mn2+イオンの配位状態などを推定することができた(分担者伏信).さらに,レボグルコサン代謝中間代謝産物である3-ケトグルコシドの340 nmの吸収波長の原因を有機化学的に明らかにすることができた(分担者北岡). (2)S-2701株の遺伝子発現系の構築 LGを原料とするバイオプロセスの構築を目的として,S-2701株の形質転換系の構築を試みた.S-2701株のLG代謝関連オペロンのプロモーター領域と緑色蛍光タンパク質(EGFP)遺伝子を連結し,Bacillus属の好熱菌で用いられているプラスミドベクターpNW33nに導入した.本プラスミドを有する形質転換体をLGを炭素源とする培地で培養した結果,蛍光強度の増大が確認できた(代表者吉田). (3) S-2701株の遺伝子欠損系の構築 S-2701M株のゲノム上に存在するLG代謝関連遺伝子クラスターの中には,ABCトランスポーターのそれぞれのコンポーネントをコードする遺伝子が存在している.このトランスポーターの機能を解析するために,ABCトランスポーターを構成する基質結合タンパク質をコードする遺伝子欠損を試みた.その結果,遺伝子破壊株はLGを炭素源とした培地では親株と同程度の生育を示したが,グルコースを共存させると生育に違いが見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LgdB1の立体構造の解明は本研究計画の中心的な課題であるが,本年度で立体構造を完全に明らかにできたこと,さらにその構造解析から活性中心の構造,反応機構を推定できたことから研究は順調に進んでいると考えている.さらに,S-2701M株をツールとする遺伝子発現系,欠損系も構築することができたことは,次年度の有用物質生産の試みにつながる結果である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,S-2701M株をプラットフォームとするLGからの有用物質生産についての可能性を探りたい.例えば,今年度までに確立した遺伝子発現系を用いて乳酸脱水素酵素遺伝子の高発現を試み,本菌によるLGからの乳酸発酵バイオプロセスの構築を検討する.
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