2021 Fiscal Year Annual Research Report
クラスター型ナノバイオロジクスによる革新的抗菌療法の開発
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21H02110
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
氣駕 恒太朗 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 室長 (90738246)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | バクテリオファージ / 薬剤耐性菌 / 抗菌治療 / 合成生物学 / 合成ファージ / 細菌感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗菌薬・抗生物質が効かなくなる“薬剤耐性菌”による死亡者数が増加しており、世界的な課題となっている。2050年には耐性菌に関連した死亡者数が年間1,000万人に達し、それによる経済的損失は、通算100兆ドル(1京円)以上になると見積もられている。新たな抗菌薬開発は頭打ちになっており、既存の手法とは異なるアプローチが必要である。抗菌薬の代替として、現在最も注目されているものの一つにファージ療法(細菌に感染するウイルスであるファージを利用した抗菌療法)がある。これまで研究代表者はファージ療法の治療効果を上げるため、合成ファージの開発をおこなってきた。本研究ではこれまでの合成ファージの研究成果を発展させ、安全で非常に殺菌力の強いファージ製剤を開発する。 初年度はファージの合成法の開発を行った。ファージのDNAを複数に分けてPCRで増幅し、それぞれの断片をアセンブリして環状にした。その後、大腸菌実験室株HST08にエレクトロポレーションすることで、ファージのリブーティングを確認した。さらに、この簡便な手法を利用し、遺伝子改変ファージの構築を行なった。ファージカプシドへの遺伝子搭載の領域を確保するため、ファージから遺伝子を削除していった結果、ファージのゲノムを半分程度にすることに成功した。また、これと同時に殺菌因子の探索も行なっている。ファージ由来の殺菌因子をいくつか比較したところ、ファージの種類によって殺菌性能が異なることがわかってきた。今後、これらの殺菌因子と合成ファージを利用して、新しい抗菌製剤を構築していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たなファージ合成法の確立に成功しており、研究は順調に進展している。また、殺菌力が高い抗菌因子の同定にも成功した。新たなファージ合成法を確立できたため、当初予定していたファージのコドン圧縮は必要なくなったが、引き続き行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進んでいるため、当初の推進方針と特に大きな変更はないが、モデルファージで成功したファージ合成法を様々なファージに展開させることを検討している。今後のさまざまな細菌への応用を考え、ファージのライブラリー化も進める。
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Research Products
(14 results)