2021 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳停滞解消因子YaeJの生理的役割と反応機構の解明
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21H02113
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
栗田 大輔 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (60552651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
行木 信一 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80302959)
葛西 秋宅 弘前大学, 医学研究科, 助教 (20609664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リボソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、YaeJによるリボソームレスキュー機構の分子メカニズムを明らかにするために、YaeJ/リボソーム複合体に対して、機能解析および構造解析を行うものである。令和3年度は機能解析を中心に進めた。複合体解析は部位特異的ラジカルプロービングを行った。まず、構造解析のためにシステインフリーのYaeJのコンストラクトを作製した。このYaeJ変異体について、in vitroでペプチジルtRNA加水分解の活性を確認した上でプロービングを行った。まずmRNAやtRNAを含まないemptyリボソームに対するプロービングを行った。さらにin vitro翻訳系を用いて、翻訳伸長中および翻訳停滞中のリボソームを再現して、これらに対する解析を行った。これによってYaeJのリボソーム上での結合位置を特定することに成功した。興味深いことに、YaeJのC末端領域は、別のリボソームレスキュー因子であるArfAやSmpBのC末端領域のリボソーム上での位置と重なっていた。
また、YaeJ変異体のリボソームへの結合活性をバイオレイヤー干渉法によって測定した。その結果、リボソーム結合活性には影響しないが、ペプチジルtRNA加水分解活性を低下させる変異体を発見した。リボソーム関連遺伝子の欠損株からリボソームを調製し、YaeJとの結合活性を測定したところ、YaeJの結合活性には影響しないが、ペプチジルtRNA加水分解活性の低下を示した。今後、これらの複合体の構造解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、令和3年度は1分子蛍光分析によるYaeJのリボソームへの結合活性測定のための条件検討を行う予定であったが、機器の不調により急遽バイオレイヤー干渉法による活性測定に変更せざるを得なくなった。そのため、バイオレイヤー干渉法による実験系の条件検討を行い、実験系を確立した。これによって、YaeJ変異体のリボソームへの結合活性を定量的に評価することが可能になった。
ラジカルプロービング法による複合体解析は順調に進んでいる。こちらも機器の不調により解析のできないトラブルがあったが、学内の共通機器を利用することで当初の遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、YaeJによるリボソームレスキューシステムの細胞内における役割と分子メカニズムを明らかにするために、YaeJの構造解析および機能解析、YaeJの標的産物の解析を行っていく。構造解析は当初から予定していたラジカルプロービングの実験を進めるとともに、YaeJ/リボソーム複合体の中間体の解析も視野に入れて研究を展開していく。まずin vitro翻訳系を用いて、複合体形成の条件検討を行っていく。また、カイネティクス解析についても、クエンチフロー法の実験系の早期の確立を目指す予定である。さらに他のリボソームレスキュー因子との結合競合実験を行っていく。これによってリボソームレスキュー因子の使い分けを明らかにしていく。また、YaeJの細胞内での標的産物を明らかにするために、引き続き選択的リボソームプロファイリング法の確立に向けた条件検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)