2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative platform for glycoproteomics targeting mucin
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21H02123
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
亀山 昭彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (80415661)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ムチン / O型糖鎖ライブラリー / グリコシルスレオニン / 糖転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ムチンは疾患バイオマーカー探索において極めて有望な標的であるにも関わらず、解析が難しいため広大な未開拓領域となっている。この難題に挑むためにはどのムチンタンパク質にどのような糖鎖が付加されているか、すなわちタンパク質と糖鎖の両方を網羅的に解析する手法が必要である。申請者はこれまでにムチンの分離分析法と画期的なO-結合型糖鎖遊離法(脱離オキシム化法)を開発した。 令和3年度は、脱離オキシム化によって糖タンパク質から得られる糖鎖オキシムを高感度分析に供するための蛍光標識化の検討を行った。HPLC用の蛍光標識化は問題なく進行したが、CE用の蛍光標識は標識された糖鎖と標識剤の分離が難しかった。これについては標識後にさらに誘導体化することにより解決できた。さらに糖転移酵素を用いたO-結合型糖鎖ライブラリーの構築を進めた。糖鎖には結合様式の違いに由来する多種類の異性体が存在するため構造同定は非常に難しいが、構造が明らかにされている糖鎖標品があれば各種分析データを照合することで簡便迅速に糖鎖同定が可能である。令和3年度は産総研ヒト糖転移酵素ライブラリーを用いて、2種類のO型糖鎖基本構造(コア1とコア2)を有するスレオニンの糖鎖伸長を行い、各糖転移酵素基質特異性を明らかにしながら各種糖鎖スレオニンを合計50種類以上合成した。またセリンおおびスレオニン残基に糖鎖を有する合成ペプチドを用いてペプチド分解実験を行い新たな分解現象を見出した。 以上の結果は本研究課題の基盤となる重要な成果と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖鎖スレオニンライブラリーの構築は出発原料として利用するスレオニン残基に蛍光標識を付与することで、糖転移酵素反応に糖鎖伸長をTLCによってモニターし分取することが可能となった。これによりHPLCによるモニターと分取に比べ迅速に糖鎖ライブラリーを増大させることができた。また糖転移酵素を磁気ビーズに固定化することにより、酵素反応による糖鎖スレオニン生成物と酵素を迅速かつ効率的に分離することができた。これらの方法をマニュアル化し、技術員に指導することにより研究計画全体はおおむね順調に進捗したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は産総研ヒト糖転移酵素ライブラリーを用いて、残りの2種類のO型糖鎖基本構造(コア3とコア4)を有するスレオニンの糖鎖伸長を行い、各糖転移酵素基質特異性を明らかにしながら各種糖鎖スレオニンを合成し、それらから糖鎖を遊離、蛍光標識、あるいは完全メチル化して各種分析法の標品を作成する。またこれまでに糖転移酵素による糖鎖伸長を種々検討した結果、合成することが難しい糖鎖も明らかになってきている。このような糖鎖を合成するための酵素反応の改良研究も合わせて行う。 またムチンの同定法については、各種ムチンの化学分解を行い、その結果得られるペプチド断片を簡便に回収する方法、さらにそれらの質量分析を行いムチンの同定につなげる方法を検討する。
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