2022 Fiscal Year Annual Research Report
イネ胚乳の生殖的隔離における「綱引き」モデルの分子実態解明
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21H02170
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
木下 哲 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (60342630)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胚乳 / イネ / ポリコーム複合体 / インプリンティング |
Outline of Annual Research Achievements |
被子植物における胚乳の生殖的隔離や、最終的な胚乳の大きさは、エピジェネティックな制御によりその初期発生期に決定されることが理解されつつある。穀類胚乳の生殖的隔離では、オス・メスゲノムの「綱引き」とも表現される仕組みが古くから想定されているが、その分子実態は未だ明らかになっておらず、胚乳発生レベルでの知見のみが明らかにされている。なかでも、細胞質分裂をスキップした核分裂を続けることにより多核体を形成した後に、一斉に細胞化する胚乳発生様式は、生殖的隔離の指標として重要であることが明らかとなっている。ゲノム編集により作成したポリコーム複合体の構成因子の1つosemf2a変異体は、多核体から細胞化へのタイミングが遅れることにより胚乳発生異常が現れる(Plant Cell 2021)。従って、綱引きの分子実態を担う最重要候補と捉えている。これに対して、栽培イネと野生イネとの交配では、細胞化のタイミングが早まることが明らかとなっている(Plant J. 2011)。これまでにポリコーム複合体構成因子の変異体と野生イネの組み合わせを検証し、胚乳発生の動態やOsMADS等のインプリント遺伝子の発現がどのように変化するか解析を進め、RNA-seq, 全ゲノムメチローム解析のための準備を進めてきた。次年度も引き続き、樹脂切片を用いた胚乳発生解析など基礎的データを取得して最終年度までにインフォマ解析を達成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画は順調に進捗しており、野生イネとの交配において、これまでに見いだしている鍵遺伝子の発現解析、胚乳発生、種子の念実などの基礎データを取得できている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの進捗を受けて、今年度も引き続き綱引きモデルの解明のため、ポリコーム複合体構成因子の変異体と野生イネとの交雑における基礎的なデータを取得する。
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