2023 Fiscal Year Annual Research Report
植物の防御機構等に関与する不溶性プロアントシアニジン合成機構の生理的解析
Project/Area Number |
21H02178
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 達郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, グループ長補佐 (00469842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 介延 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (80229020)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不溶性プロアントシアニジン |
Outline of Annual Research Achievements |
「1)iProA最終合成タンパク質・遺伝子の単離」については、昨年度に引き続き活性測定方法の開発を行った。基質としてカテキン、エピカテキンに加え、システイン-エピカテキンが重合反応の開始に重要との知見があるため、システインエ-ピカテキンを検討すこととした。システイン-エピカテキンは市販されていないことから、ソバ殻に含まれるiProAをシステイン存在下で加熱することで合成する方法の開発を試みた。具体的には温度、時間、各物質の存在割合等の検討を行った。検討結果、いくつかの条件において、反応後の液をLC/MSで分析したところ、システイン-エピカテキンに相当するm/zを有する化合物を見出すことができ、またイオントラップMSにて当該m/zを持つ物質は、コリジョンによりシステインおよびエピカテキンに相当するm/zに相当する物質から構成されていることが明らかとなった。以上をもってシステイン-エピカテキンを合成できたと判断した。ただし、合成量は現段階では極めて少ないため、より効率的な方法の検討を経て、合成したシステイン-エピカテキンを基質としたiProA合成系の開発を実施する。また、遺伝子発現の観点から原因遺伝子の推定を行った。RNAseqのデータ解析を実施しつつ、DeepFeature法による候補遺伝子の推定を実施した。DeepFeature法は、RNAseqデータを機械学習させることで特徴量とした原因遺伝子群(遺伝子名)を返り値として出力できる手法である。医学分野と異なりデータ量が限られる植物分野へ応用するため入力データ等を工夫することで適用できる可能性が見出された。現在RNAseqおよびDeepFeatur法の両方のデータを比較することで原因遺伝子を探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「1)iProA最終合成タンパク質・遺伝子の単離」については、昨年度に引き続き活性測定方法の開発が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
「1)iProA最終合成タンパク質・遺伝子の単離」については、昨年度に引き続き活性測定方法の開発を継続するが、非酵素的にiProAが合成されている可能性も考慮し、invitroでの合成についても検討する。その検証のためには、エピカテキンーシステインの大量合成が必要となる。合成量は現段階では極めて少ないため、ソバ殻ではなく、カリン等のiProAが多い果実等を原料とすることや、必要に応じて外注での合成についても検討する。もしinvitroでも合成が進むようであれば、iProAの基質の輸送等のメカニズムに原因がある可能性が高くなる。そこで、重合関連酵素遺伝子のほかに、GST等の輸送関連遺伝子についても注意して解析する。
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