2021 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫や昆虫がつくる構造物の3次元的構造の多様性と機能-甲虫と虫こぶをモデルに
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21H02212
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
井手 竜也 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究員 (80724038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 周平 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, グループ長 (80228361)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイクロCT / 昆虫 / 甲虫 / 虫こぶ / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫の体のつくりや昆虫が自然界につくりだす構造物は、ときに外形のみならず内部にいたるまで著しく多様化している。一方で,その3次元的構造がもつ機能は多くの場合解き明かされていない。本研究は昆虫の中で最大の多様性を誇る「甲虫」と、昆虫がつくる構造物の極致の一つといえる「虫こぶ」をモデルに,マイクロCTを用いた構造解析によって昆虫と昆虫がつくる構造物の多様性と機能を明らかにすることで、昆虫の多様性のより総合的で現代的な理解を目指すものである。 令和3年度は、主に材料となる甲虫と虫こぶについて、資料の収集と選定を開始するとともに、マイクロCTによる最適な撮影条件の探索をおこなうことを計画し、これを中心に研究を進展させた。 甲虫では、観察に最適な状態の資料を得るため野外調査を実施し、さまざまなコウチュウ目昆虫の資料を入手した。また、染色がCT像の解像度にどのような効果を及ぼすかについてカブトムシの幼虫を用いて検証した。虫こぶでは、タマバチ科、タマバエ科、アブラムシ科等が形成するさまざまなタイプの虫こぶを野外から入手し、生きた資料、液浸標本資料等、条件を変えながら解析方法の検証を進めた。特に、生きた虫こぶ試料において、マイクロCTによる継続的な観察によって、内部構造の経時的な変化を捉えることが可能であることが新たに確認された。 本年度の研究成果の一部については、雑誌論文1件、学会発表6件、図書1件において公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目には主に資料の収集と選定、3次元的構造の可視化に関する解析条件の検討を開始することを計画した。現在までに、材料となる甲虫および虫こぶについて、資料の収集と選定を開始しており、収集した資料の一部を用いて、マイクロCTおよび画像解析ソフトウェアによる3次元像の取得と解析条件の検討も進めている。さらに、成果の一部は論文や学会発表のほか、教育普及活動にも活用している。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は1年目に引き続き、資料の収集と選定、サンプルごとのマイクロCTによる解析条件の検討を進め、取得する3次元像の精度の向上と情報の蓄積を図る。また、生態的なデータを収集するとともに、進化的背景を考察するためのDNA解析も開始する。
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