2021 Fiscal Year Annual Research Report
草食獣の大移動保全に向けたバイオロギング解析:種内・種間関係の影響評価
Project/Area Number |
21H02216
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
伊藤 健彦 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 研究職員 (50403374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 智子 中央大学, 経済学部, 教授 (70295468)
菊地 デイル万次郎 東京工業大学, 工学院, 研究員 (30793343)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 移動生態学 / 草原生態系 / モンゴル / モウコガゼル / 保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
モンゴルの草原地帯に生息する長距離移動性の野生草食獣モウコガゼルの大移動の保全にむけて、動物装着カメラ映像の通年記録による、同種他個体や家畜の影響評価手法の開発と、生息地選択や行動への家畜の影響評価をめざして研究を開始した。しかし、新型コロナ感染症の影響により、研究初年度(2021年度)はモンゴルへの渡航がかなわず、研究費の大半を2022年度に繰り越した。 2022年度にはモウコガゼルに装着する3軸加速度計・カメラ付GPS首輪を購入した。しかし、ロシアのウクライナ侵攻の影響で、モンゴルの空港に輸送された首輪が危険物扱いとなり、メーカーに返送された。そのため2022年度もモンゴルでの首輪装着によるモウコガゼルの個体追跡と映像等の記録は開始できなかった。 モンゴルへの渡航は可能となったため、現地での環境調査を実施し、過去の課題で追跡した個体の首輪の回収とデータのダウンロードに成功した。国内ではこれらのデータの解析を進めた。 首輪装着個体の行動を動的加速度の合計値で、休息と反芻からなる静的活動と、採食と移動からなる動的活動に分類したところ、静的活動と動的活動からなる数時間単位の周期の存在と周期長の季節変化が確認された。周期長の季節変化は植生状態と対応していることが推測され、モウコガゼルの生息地選択や移動フェーズ切替の要因解明につながることが期待される。 首輪カメラで撮影された動画からは、相対的な群れサイズの季節変化を初めて定量化することができた。また、機械学習を用いた高精度での他個体検出手法もほぼ確立できた。本成果は、モコガゼルの生態の新たな一面を明らかにしただけでなく、遊動的な動物の研究手法開発的な意義も大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
加速度データや画像の解析の予想以上の進展はあるが、モウコガゼルへの首輪装着によるデータ取得が開始できていないことは大きな遅れである。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年にはモウコガゼルへの首輪装着を行い、データの取得を開始する予定である。入手済みの加速度データと動画を用いた解析だけでも、興味深い結果が得られており、新たな解析方針として複数のアイデアが浮かんでいる。位置データや環境情報データを組み合わせた解析も可能であり、新たな首輪装着個体のデータが得られるまでは、既存のデータを用いた解析を進める。
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Research Products
(9 results)