2021 Fiscal Year Annual Research Report
Ecophysiological study on tree mortality of conifer trees in a fir wave
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21H02228
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
種子田 春彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90403112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 晋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60323474)
宮沢 良行 九州大学, キャンパス計画室, 学術推進専門員 (80467943)
杉浦 大輔 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (50713913)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 師部輸送 / 常緑針葉樹 / 枯死 / 縞枯れ / 貯蔵物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、樹木の衰退や枯死の原因が、根や幹の基部といった師部を通るショ糖輸送の下流で深刻な炭水化物制限が起きることによる、という局所的炭水化物制限説の検証を目的としている。本年度は、(1)師部輸送によるショ糖供給量と茎や根の成長の個体内の分布を定量するためのHPLCによる糖の定量、(2樹皮、木部、葉における非構成炭水化物(NSC)の測定、(3)同位体を用いた師部輸送速度の推定方法の検討、(4)師部の解剖学的解析のための切片の作製方法の検討、(5)個体の生産・枯死の状態判別のための蒸散流速測定を試みた。 全体として測定は一進一退で手法の検討に多くの時間を費やした。(1)HPLCによる糖の定量では、当初、島津製のカラムを使って糖とギ酸の反応を利用した方法を使ったが、時間がかかる上に扱いが難しく安定した測定結果を得られなかった。(2)分担者の杉浦氏がNSCの測定を行ったが、グルコースやスクロース量が個体の部位によって大きく変化するなど解釈の難しい結果を得た。(3)従来13CO2を植物に取り込ませることで、師部での同位体の移動を見る。しかし、この方法は大掛かりな装置と長い時間を必要とするが、ヒマワリを使った実験から15Nが小さな傷から素早く師部に取り込まれることを明らかにした。(4)従来は長期間の有機溶媒の浸透など煩雑な手順で切片が作られていたが、cryo-statを使って凍結した樹皮で切片を作製することで、比較的容易に観察に耐える切片を得られるようになった。(5)樹液流速は幹に穴をあけてプローブを差し込んで測定を行う方法が主流であるが、この方法をシラビソで試すと木部が乾燥して正しい測定値が数週間で取れなくなることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安定した測定を行うためには、測定手法の検討を必要とする項目が多くあり、今年度は主にこれらの試行錯誤に時間を費やしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度の試行錯誤で得た情報を使って測定方法の改良を行い、安定した測定ができることを目指す。具体的には以下の項目を計画している。(1)Shodex製のカラムと示差屈折率検出器での測定に変えることで、測定時間を今までの1/3、簡便な操作で測定ができるようにする、(2)NSCの測定では、貯蔵物質であるデンプンの定量を主な目的とする、(3)樹皮に傷をつけて15Nを取り込ませ、師部の輸送速度の推定方法を確立させる、(4)個体内の師部形態の変化を健全個体と衰退個体について定量する、(5)蒸散流測定では、分担者の宮沢氏が植物表面に貼り付けるタイプのセンサーの開発を進めており、これを実際に試す、(6)ルートメッシュ法を用いた根の成長量を推定する。
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Research Products
(3 results)