2021 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of a fast and efficient production method for pollen-free sugi seedlings by liquid culture technology
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21H02244
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
丸山 毅 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究専門員 (20353865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 真義 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40414479)
伊津野 彩子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (80816249)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 無花粉スキ / 液体培養 / 不定胚形成 / 組織培養 / 培養苗 / 遺伝解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、無花粉スギの普及・拡大に向けた花粉症対策の一環として、組織培養苗の生産性を飛躍的に向上させることができる不定胚の液体培養技術を用いて、胚性万能細胞に由来する無花粉スギ苗の迅速効率的な生産法を開発することを目的とする。そのために、【課題1】液体培養技術による無花粉スギ苗生産法の効率化、【課題2】分化能力の高い細胞系統の選抜法の開発、【課題3】無花粉スギ培養苗の品質(形質)評価、といった3つの課題についての技術開発を行う。 当年度は、【課題1】液体培養技術による無花粉スギ苗生産法の効率化では、無花粉スギ家系からの種子を採取し、外植体として用いた。外植体を無菌化するため、1%次亜塩素酸ナトリウム溶液に15分浸漬・撹拌し、滅菌水で洗浄処理した。その後、種皮を剥ぎ取り、種子胚を含む雌性配偶体を胚性万能細胞誘導用培地に置床した。培地には、EM培地(Maruyama et al. 2000)に成長調節物質を添加した固形培地を用いた。その結果、複数の不定胚形成細胞系統を誘導することができた。得られた不定胚形成細胞系統を定期的に継代培養し、維持・増殖した。また、培養細胞の維持・増殖における液体培養条件の探索を開始した。その結果、2,4-DとBAPを含む液体培地で培養すると、固形培地と比べて不定胚形成細胞の増殖率が高く、同じ量の培養細胞を収穫するための必要な培養日数が減少した。また、不定胚形成細胞を液体培地で培養するための一般的ではない静置培養法を試したところ、スギ培養細胞の維持・増殖が可能であることを確認できた。【課題2】分化能力の高い細胞系統の選抜法の開発では、培養細胞系統の遺伝解析や遺伝マーカーの開発を行うため、課題1で得られた培養細胞系統からのDNAとRNAを抽出し、スギの不定胚形成に関与すると考えられる遺伝子の探索を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度に設定した【課題1】液体培養技術による無花粉スギ苗生産法の効率化では、誘導した複数の不定胚形成細胞系統を維持・増殖し、培養細胞の維持・増殖における液体培養条件の探索を開始した。また、【課題2】分化能力の高い細胞系統の選抜法の開発では、遺伝解析や遺伝マーカーの開発を行うため、課題1で得られた培養細胞系統からのDNAとRNAを抽出し、スギの不定胚形成に関与すると考えられる遺伝子の探索を開始した。これらにより、当年度に設定した研究目標をおおむねに達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、【課題1】液体培養技術による無花粉スギ苗生産法の効率化について、培養細胞の維持・増殖における液体培養の至適条件を検討する。【課題2】分化能力の高い細胞系統の選抜法の開発について、課題1で得られた培養細胞系統の遺伝解析や遺伝子の特定を進める。
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