2021 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular characterization of collecting ducts and their mechanisms of water and electrolyte metabolism during acclimation of fishes to fresh water and seawater
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21H02281
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 明 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (40311336)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 魚類生理学 / イオントランスポーター / 腎臓 / 集合管 / 淡水魚 / 海水魚 / アクアポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
集合管は腎小体(ネフロン)の最終部に位置し、最終尿の量、成分、浸透圧を決定する極めて重要な役割を担う管状の上皮組織である。淡水産真骨魚(以下、淡水魚)において、腎臓は水の排出を担う器官として機能する。淡水魚の糸球体は海水魚に比べて多くの原尿を産生し、原尿のブドウ糖やアミノ酸などの栄養成分は近位尿細管により再吸収される。その後、遠位尿細管と集合管が水を透過しない状態でNaClを積極的に再吸収することにより尿中の塩濃度を体液の1/10~1/20程度まで希釈し、水排出に寄与する。海産真骨魚(以下、海水魚)において、腎臓はMgSO4の排出を担う器官として機能する。海水魚の近位尿細管はマグネシウムイオン、硫酸イオン、塩化物イオンを含む水溶液を活発に原尿中に分泌し、この機能は淡水魚や陸上動物の腎臓には見られない性質である。その後集合管は、ナトリウムイオンと塩化物イオンと共に水を積極的に再吸収して尿量を減少させ、MgSO4を高濃度に濃縮した等張尿を産生し、これらの排出に寄与する。これら淡水魚と海水魚の集合管機能の共通性や相違点を担う分子機構や、その性質が環境水の塩濃度変化に応答してどの様に制御され切り替わるかを分子レベルで理解することは、魚類の淡水・海水順応のメカニズムを理解する上で極めて重要な課題であるが、その全貌は明らかでない。本研究では魚類腎臓の集合管の上皮輸送に着目し、淡水魚と海水魚の集合管におけるNaCl の再吸収機構、淡水魚集合管の低い水透過性を維持する分子メカニズム、海水魚集合管の高い水透過性を維持する分子メカニズム、集合管機能制御の分子機構について解明を試みる。本年度は特に集合管の水透過性の制御を担うアクアポリンを中心に研究を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海水魚集合管の高い水透過性を維持する分子メカニズム、および淡水魚集合管の低い水透過性を維持する分子メカニズムの解析: 海水魚集合管の高い水透過性は、集合管のapical膜とbasolateral膜にそれぞれ存在する水チャネル(aquaporin, Aqp)によるものだと考えられる。天然海水で飼育したトラフグ集合管のRNA-Seq解析から得られた情報を基に、集合管に高発現するAqpとしてAqpx, Aqpy(仮名)を同定した。これらに特異的なポリクローナル抗体を作製し、トラフグ腎臓に対して免疫組織化学による解析を行った結果、Aqpxが集合管のapical膜に、Aqpyがbasolateral膜にそれぞれ存在することを明らかにした。この結果は、海水魚集合管が高い水透過性を有して等張尿を産生することに、Aqpx, Aqpyが寄与していることを示している。一方、淡水魚集合管は低張尿を産生するために水透過性を持たないことが重要であり、集合管におけるAqpx, Aqpyの活性は何らかの形で抑制される必要がある。希釈海水で飼育したトラフグは低張尿を産生することを確認したので、このトラフグにおいてAqpx, Aqpyの活性がどの様に抑制されるかについて解析したが、想定より難航しており、今後も解析を継続する。 海水魚集合管のホウ酸排出を担う分子メカニズムの解析: トラフグ集合管のRNA-Seq解析から、Aqpz(仮名)も集合管に高発現することが明らかになった。Aqpzはアクアグリセロポリンファミリーに属し、水の他にグリセロールや尿素も輸送する。アフリカツメガエルの卵母細胞に発現させたトラフグAqpzを解析したところ、ホウ酸も基質として輸送することが明らかになった。ホウ酸は海水の成分の1つであり、我々は海水魚がホウ酸を尿中に濃縮することを見出している。Aqpzは集合管を介したホウ酸排出に寄与する可能性が高く、今後解析を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
淡水魚集合管の低い水透過性を維持する分子メカニズムの解析: 希釈海水で飼育したトラフグ腎臓に対して免疫組織化学による解析を行った結果、Aqpx, Aqpyとも発現を確認した。海水飼育したトラフグ腎臓の結果と比べて、共焦点顕微鏡を用いた解析からは、局在変化を見出すことはできなかった。低浸透圧順応におけるAqpx, Aqpyの活性抑制は細胞膜から細胞内顆粒への移行に起因する可能性が依然として存在するが、この移行は光学顕微鏡の解像度では検出できない可能性が考えられる。そこでその可能性を確かめるため、免疫電子顕微鏡法による解析を進める。 海水魚集合管のホウ酸排出を担う分子メカニズムの解析: トラフグ集合管に発現するホウ酸輸送体Aqpzのポリクローナル抗体を作製し、免疫組織化学による解析を行うことにより集合管細胞におけるAqpzの細胞内局在を確定する。これまでの解析から、陰イオン交換輸送体ファミリーの1つであるSlc4a11もホウ酸を輸送することを見出している。これらの解析を進め、海水魚集合管がホウ酸を排出する分子メカニズムを明らかにする。 淡水魚の集合管におけるNaClの再吸収機構の解析: 淡水魚や広塩性魚類の集合管、及び淡水魚・海水魚の膀胱にはNaCl共輸送体(Ncc)が高発現し、apical膜に局在する。魚類Nccをアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、その活性測定系を確立する。その後、Nccの活性を制御する因子の候補をRNA-Seqデータから特定し、アフリカツメガエル卵母細胞に共発現させてNccの活性を促進する因子の特定を試みる。
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Research Products
(8 results)