2021 Fiscal Year Annual Research Report
栽培履歴が野菜貯蔵中の機能性成分含量に及ぼす影響と変動予測モデルの構築
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21H02319
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
圖師 一文 宮崎大学, 農学部, 教授 (50435377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
霧村 雅昭 宮崎大学, 農学部, 助教 (40433065)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トマト / イチゴ / ビタミンC / 抗酸化活性 / 抗酸化酵素 / 栽培履歴 / 貯蔵 / 塩ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
栽培履歴が貯蔵中の機能性成分含量の変動に及ぼす影響を明らかにするために,下記について実験を行った。 ①トマトに塩ストレス(養液栽培の培養液に塩化ナトリウムを添加)を付与して栽培し,収穫した果実を5℃で貯蔵した。その後,貯蔵1週間毎(7,14,21日)に機能性成分,活性酸素を消去するアスコルビン酸-グルタチオンサイクル酵素活性と活性酸素生成量の変化を測定し,塩ストレスによって貯蔵中の変化が異なることを明らかにした。例えば,塩ストレスを与えることで,貯蔵に伴い活性酸素を消去する酵素活性が上昇することが明らかになった。 ②生産者圃場で栽培しているトマトおよびイチゴを栽培期間中1ヶ月ごと(11月から6月まで)に収穫した後,5℃で貯蔵した。その後,貯蔵3日後,7日後,14日後に機能性成分,活性酸素を消去するアスコルビン酸-グルタチオンサイクル酵素活性と活性酸素生成量の変化を測定し,収穫時期よって貯蔵中の変化が異なることを明らかにした。例えば,冷涼な時期に時期に収穫した果実を貯蔵した場合,機能性含量が上昇するが,気温が高い時期に収穫した果実を貯蔵した場合含量の上昇は認められなかった。また,貯蔵前の機能性成分含量や硬さを放火するための指標の解明を行うとともにと,栽培履歴から予測するための数理モデルを作成し収穫前2週間の栽培履歴から予測できることを明らかにした ③ホウレンソウのルテイン含量の生育に伴う変化を測定した。貯蔵中の変化までは明らかに出来なかったが,ルテイン含量が約1/2に低下する生育ステージがあることを明らかにした。 ④人工光型植物工場内で栽培したリーフレタスを5℃で貯蔵し,光合成機能の変化を測定した。結果は現在取りまとめ中であるが,品種によって変化が異なる傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である,栽培履歴が貯蔵中の機能性成分含量にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために,栽培方法や栽培環境が貯蔵中の機能性成分や抗酸化システムに及ぼす影響を解明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでの研究をさらに進め,トマトにおいては塩ストレスだけでなく乾燥ストレス下で栽培する実験を行うとともに,実験を反復して行い,得られた知見の栽培年次による差異を明らかにする。また,昨年度,栽培期間中に環境(複合型気象計測センサーや土壌マルチセンサーを設置し温度,湿度,二酸化炭素濃度,飽差,日射量,土壌水分,土壌EC,土壌温度を取得)データと生育データを同時に測定していることから,環境条件などの培履歴が貯蔵中の機能性成分含量に及ぼす影響とその関連性を相関ネットワーク分析を使って可視化する。この結果をもとに,栽培履歴の中で貯蔵中の機能性成分含量の変動に対する重要なパラメーターを抽出・可視化する。
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