2022 Fiscal Year Annual Research Report
栽培履歴が野菜貯蔵中の機能性成分含量に及ぼす影響と変動予測モデルの構築
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21H02319
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
圖師 一文 宮崎大学, 農学部, 教授 (50435377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
霧村 雅昭 宮崎大学, 農学部, 助教 (40433065)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トマト / イチゴ / 機能性成分 / 食感 / 貯蔵 / 栽培履歴 / 環境データ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,栽培履歴が貯蔵中の機能性成分含量に及ぼす影響を明らかにするとともに,貯蔵性に重要な食感についても着目し下記の2つについて研究を行った。 ①塩ストレス下で栽培したトマトにおいて,貯蔵期間中の果実の食感の変化や機能性成分,活性酸素を消去するアスコルビン酸-グルタチオンサイクル酵素活性と活性酸素生成量の変化を測定し,塩ストレスによって貯蔵中の変化が異なることや収穫時期によって酵素活性の貯蔵に伴う変化に上昇あるいは減少する場合のあることが明らかになった。また,栽培期間中の環境データとの関連性を検討した結果,果実の生育期間中の気温や積算日射量によって貯蔵中の活性酸素を消去するための抗酸化酵素活性の変化に違いが認められ,塩ストレスだけでなく環境などの栽培履歴が果実貯蔵中の機能性成分含量や抗酸化酵素活性の変化に影響を及ぼすことが明らかになった。 ②生産者圃場で栽培しているトマトおよびイチゴを栽培期間中1ヶ月ごとに収穫した後,貯蔵し,果実の食感の変化や機能性成分,活性酸素を消去するアスコルビン酸-グルタチオンサイクル酵素活性と活性酸素生成量の変化を測定した。この結果,収穫時期よって貯蔵中の変化が異なることを明らかにした。また,貯蔵中の果実の食感と果実品質成分の関連性を相関ネットワーク分析を使って可視化し,収穫した時期によって,ネットワーク構造に重要なパラメーターが異なることを明らかにした。 これらのことから,果実生育期間中の環境条件などの栽培履歴が,収穫後の機能性成分や果実食感などの貯蔵性の変化に大きく影響を及ぼすことを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である,栽培履歴が貯蔵中の機能性成分含量にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために,栽培方法や栽培環境が貯蔵中の機能性成分や抗酸化システムに及ぼす影響を解明できたとともに,新たに着目した果実の食感に関する新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでの研究をさらに進め,実験を反復して行い,得られた知見の栽培年次による差異を明らかにする。また,栽培期間中の環境データと生育データを同時に測定していることから,環境条件などの培履歴が貯蔵中の果実食感の変化や機能性成分含量に及ぼす影響とその関連性を相関ネットワーク分析を使って可視化する。また,研究データの蓄積も進んできたことから,栽培履歴の中で貯蔵中の機能性成分含量の変動に対する重要なパラメーターを用いた貯蔵性予測モデルの作成を行う。
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