2022 Fiscal Year Annual Research Report
水田環境の生物多様性管理に向けた実践的新規生態リスク評価法の構築
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21H02327
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
本林 隆 東京農工大学, 農学部, 教授 (20262230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日鷹 一雅 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (00222240)
高橋 真 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (30370266)
水川 葉月 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (60612661)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 農薬濃度分析 / 田面水 / 種感受性分布 / 水生昆虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
水田環境における農薬濃度の分析に関しては、環境水を対象に農薬70成分及び90成分をそれぞれLC-MS/MSとGC-MS/MSを用いた分析法開発を行った。その結果、LC-MS/MSでは70成分中58成分、GC-MS/MSでは90成分中71成分で良好な回収率(70~120%)を得た。 松山平野の水田及び周辺環境の調査では、①一般的な慣行農法を行っている圃場、②有機農法を行っている圃場、③フィプロニルやイミダクロプリドなど特定の農薬を継続施用している実験圃場、の3つの調査対象地域から田面水と河川水および土壌を採取した。また、試料の採取は稲の田植え直後(6月~7月)、夏季防除期(9月~10月)、収穫後(12月)の3回実施した。 田面水および河川水の分析の結果、田植え直後の圃場①の田面水と河川水から計22成分の農薬が検出され、特に農薬サンエースの有効4成分が高濃度で検出された。また、圃場②の試料からも同種の農薬成分が検出されたが、その濃度は圃場①の1/10程度であった。圃場③では、田植え直後の試料から各圃場で施用している農薬成分が高濃度で検出された。以上のように、分析の結果は水田の農薬使用履歴を反映したものであり、今後、様々な水田のサンプルから精度よく農薬を検出できるものと考えられる。 水生生物に対する殺虫剤の種感受性分布モデル(SSD)の作成に関しては、農工大学FSセンターの水田に生息する水生昆虫を中心にネオニコチノイド系殺虫剤のイミダクロプリドおよびクロチアニジンについてSSDを作成した。さらに、農工大学の水田で実施したメソコズム実験の結果、薬剤の影響を受けた種とSSDによって影響を受けると推測された種があるい程度一致しており、SSDによるる水生昆虫に対する農薬の生態リスクを十分、評価できるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限のため、調査、サンプルの採取範囲が限定され、計画していた水田およびその周辺水域での農薬の分析データ、種感受性分布を作成するために必要な供試生物の種数、個体数などが不足した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、全国各地で調査、サンプルの採取を予定していたが、むしろ、それぞれの研究者の周辺地域を中心に、その地域内のでサンプル数を増加させることで、水田環境中の農薬濃度のバラツキ、水田に生息する水生生物の農薬に対する感受性のバラツキを把握することに努めて、研究を進める。
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Research Products
(3 results)