2023 Fiscal Year Annual Research Report
植物ー微生物間の気相を介したケミカルコミュニケーション機構の解明
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21H02332
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上田 晃弘 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (10578248)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 植物生育促進微生物 / 植物-微生物間接的相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、間接的に植物の生育に影響を与える微生物の選抜およびそれらの微生物から放出される揮発性物質の同定を継続した。固相マイクロ抽出法およびガスクロマトグラフ-質量分析器を用いて同定された多くの揮発性物質は、シロイヌナズナの生育に大きな影響を与えなかったものの、シロイヌナズナの生育を促進する揮発性物質の同定にも成功した。生育促進作用を持つ揮発性物質をシロイヌナズナに作用させると、2週間後のシロイヌナズナの乾物重量は1.5倍以上に増加する。シロイヌナズナの生育促進効果を持つ揮発性物質のいくつかはイネの生育促進にも効果的であることや塩害環境下におけるシロイヌナズナやイネの生育改善にも有効であることが分かってきたことから、植物体内における作用機序は複雑であり、揮発性物質ごとに異なるものであると思われた。生育促進効果を持つ揮発性物質をシロイヌナズナに作用させたところ、ストレス応答遺伝子群とともに器官増大を制御する転写因子の発現が誘導されることが明らかとなってきたことから、シロイヌナズナは微生物由来の揮発性物質を認識し、遺伝子発現を調節した上で生理応答を変化させる機構を有していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
間接的に植物の生育を促進する微生物の単離や、それら微生物から放出される揮発性物質の定性分析とともに、植物の生育促進に資する揮発性物質の同定に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに同定してきた植物生育促進能を持つ揮発性物質の定性定量分析を行う。またこれら揮発性物質が植物の生育をどのように促進しているのかの分子機構の解明を行うために、シロイヌナズナやイネを用いたRNA seq解析やイオノーム解析を実施予定である。
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