2022 Fiscal Year Annual Research Report
超寿命の家畜精子産生システム開発に資する精子幹細胞の性質解明
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21H02341
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 健士朗 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60551546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幹 東北大学, 農学研究科, 教授 (20250730)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精子 / 精巣 / ニワトリ / ウシ / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
精子幹細胞は、持続的に精子産生する能力を秘めた希少細胞であり、精巣からの回収後、体外での未分化維持と精子への分化誘導が可能になれば、優良個体精子の長期的産生が実現する。しかし、産業動物の精子幹細胞の特定・回収・培養に必要な幹細胞の細胞生物学的性質に関する知見は十分に蓄積されていない。本研究は、精子幹細胞の遊走および細胞外基質分泌に着目し、マウスを用いて分子機構と生理的役割を解析するとともに、家畜・家禽との種間共通性・相違性を解析する。得られる成果は、ほ乳類精子幹細胞の制御機構の一端を明らかにするものであり、産業動物の体外精子生産の研究開発に資する生物学的知見となる。2022年度は、精子幹細胞の制御機構とその種間での共通性および相違性について、以下の2つの項目を実施し検討を進めた。(1)細胞外基質関連遺伝子Aの機能解析:精子幹細胞の機能制御に関与すると予想される遺伝子Aに焦点を当て、細胞特異的遺伝子改変マウスを使用し、同遺伝子の欠損が精子幹細胞の挙動に及ぼす影響を検討した。その結果、幹細胞の一部が基底膜から離れたり、幹細胞の数が一時的に減少するなどの減少が観察され、遺伝子Aが幹細胞挙動制御に関与している可能性が示された。(2)種間共通性・相違性の解析:成ウシの未分化型精原細胞における遺伝子Aの産物の局在を免疫組織化学を用いて解析した。その結果、未分化型精原細胞での遺伝子A産物の局在を確認し、ウシに共通性が存在する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って進んでおり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に引き続き、以下の2項目の解析を進める。1)精子幹細胞における細胞外基質関連遺伝子Aの機能解析:前年度までに一部の表現型を明らかにした精子幹細胞における遺伝子Aの発現を対象にした細胞特異的遺伝子改変マウスを用いて、同遺伝子の欠損が精子幹細胞の機能に及ぼす影響についての解析をさらに進める。特に、遺伝子欠損の長期的影響についての解析を進める。2)種間共通性・相違性の解析:遺伝子Aのタンパク局在を、成ニワトリ未分化型精原細胞を用いて解析する。これまでにサンプリングした成ニワトリ精巣について、切片化後、遺伝子Aに対する抗体を用いて免疫組織化学を施し、タンパクの空間分布を解析する。
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