2022 Fiscal Year Annual Research Report
異常DNAメチル化をターゲットとした腫瘍の微小残存病変検出法と超早期診断法の確立
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21H02351
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 淳平 北海道大学, 獣医学研究院, 特任准教授 (20732902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木之下 怜平 北海道大学, 獣医学研究院, 特任助教 (30761150)
松本 悠貴 アニコム先進医療研究所株式会社(研究開発課), 研究開発課, 研究員 (40831384)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌの悪性黒色腫における特異的なDNAメチル化の変化を血漿中セルフリーDNAに応用し、次世代シークエンサーを用いて微小な腫瘍細胞を検出することによってイヌの悪性黒色腫の早期発見および治療後の新規方針策定につなげるため、R4年度は以下の項目について検討を行った。
1. 腫瘍症例の臨床的評価・検体収集:北海道大学動物医療センターに来院する犬のリンパ腫および悪性黒色腫の症例、肛門嚢腺癌や移行上皮癌症例を追跡、組織サンプルを採取、また血漿を収集し凍結保存した。2. 解析候補メチル化領域の選抜:前年度の結果から、悪性黒色腫に関しては5か所のCpG配列に絞り込んである。その他の疾患については、特異的CpG配列の同定をすすめている。3. 症例サンプルのバイサルファイトターゲットシークエンス:悪性黒色腫の異なる症例および異なる日付ごとにそれぞれの5か所のPCR産物を混合後、次世代シークエンスによってデータを得た。この結果、各サンプルにおける1つのターゲット毎に数百万リードのデータを得られ0.0001%のメチル化を定量可能であることを確認した。また、クリーンベンチの導入により、2ndステップPCRにおけるコンタミネーションを大幅に減少させることができた。4. 臨床的評価との相関解析:悪性黒色腫8症例における延べ22個の異なる症例かつ異なる日付の血漿サンプルについて、上記5か所のDNAメチル化定量を行った。このうち、数症例において同時に評価した腫瘍の進行度とDNAメチル化レベルとの相関がみ見られ、その変化幅は0.2%-1%ほどであった。これは、本研究で進めている定量感度によって初めて検出可能な微小な変化であり、想定していた仮説が正しいことが示唆されている。現在、同様な相関がより多くのサンプルで見られるかどうかサンプル数を増やしている。5. 超早期診断への応用:一次病院における同一個体の数か月~1年毎の定期健康診断サンプルを経時的に収集中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 血漿セルフリーDNAを用いた高深度(高カバレッジ)なDNAメチル化定量によって、期待していた病状に相関したDNAメチル化の変化が数症例において認められた。また、サンプルの処理から解析までに渡るプロセスを確立し、環境整備を含めたハイスル―プット系の実現を目指している。 2.一方で、病状との相関が認められた症例がまだ数症例であるため、その一般性を見いだせていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果によって、イヌの悪性黒色腫における血漿セルフリーDNAの高感度なDNAメチル化定量が可能となり、同一症例におけるDNAメチル化変動が病状と相関していることが判明した。今後も悪性黒色腫やその他の腫瘍症例の血漿サンプル収集も継続していき、それぞれの腫瘍に特異的なDNAメチル化変化を用いた早期診断、治療後因子の樹立を念頭におき研究を推進していく。
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