2023 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the interaction between changes of molecules in exosomes and the development of enzootic bovine leukosis
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21H02357
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
猪島 康雄 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20355184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 彩加 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (70784221)
高島 茂雄 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 准教授 (50537610)
松橋 珠子 近畿大学, 先端技術総合研究所, 講師 (60504355)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エクソソーム / 牛伝染性リンパ腫 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)感染牛のうち、リンパ腫を発症するのはわずか1~5%だけであり、BLV感染量が増加しても発症しない感染牛が圧倒的に多く、発症の原因はいまだ不明である。 本研究では、生体の健康状態により変化する、エクソソームが内包する核酸とタンパク質の挙動とリンパ腫発症との相関を解明し、発症に関わる生体内の因子を分子レベルで解明する。 本年度は、前年度から継続して、以下の研究を進めた。①大学附属および民間の酪農場、各地の食肉衛生検査所(と畜場)、農業共済組合家畜診療所の協力により、BLVに感染していない健康なホルスタイン牛34頭、リンパ腫を発症したホルスタイン牛33頭、合わせて67頭から血液を収集した。②牛の個体情報、血液検査・血液生化学データ、感染ウイルス量、等のデータを収集した。③67頭のうち、健康牛3頭、リンパ腫発症牛3頭の血液エクソソームが内包するmiRNAの種類と量をマイクロアレイ解析により網羅的に同定、健康牛とリンパ腫発症牛で比較した。 その結果、以下の研究成果を得た。マイクロアレイ解析により、4種のmiRNAがリンパ腫発症牛の血液エクソソーム中に現れるバイオマーカー候補として選択できた。4種のバイオマーカー候補となったmiRNAのうち、3種のmiRNAを検出するリアルタイムPCR法を確立することができた。そこで、血液エクソソーム中のリンパ腫発症バイオマーカー候補miRNA3種について、健康牛31頭、リンパ腫発症牛30頭の血液で解析したところ、それら3種のmiRNAは、リンパ腫発症牛の血液において、有意に上昇していることが明らかとなった。 以上より、これら3種のmiRNAは、血液エクソソーム中に現れるリンパ腫発症バイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、大学附属および民間の酪農場、各地の食肉衛生検査所(と畜場)、農業共済組合家畜診療所から、BLVに感染していない健康なホルスタイン牛、リンパ腫を発症したホルスタイン牛から血液を収集できた。牛の個体情報、血液検査・血液生化学データ、感染ウイルス量、等のデータを収集できた。健康牛、リンパ腫発症牛の血液エクソソームが内包するmiRNAの種類と量をマイクロアレイ解析により網羅的に同定できた。マイクロアレイ解析をもとに、健康牛31頭とリンパ腫発症牛30頭の血液エクソソーム内包miRNAを比較することができた。 その結果、リンパ腫発症を反映する血液エクソソーム中のmiRNAをバイオマーカーとして複数種類同定することができ、それらを検出するためのリアルタイムPCR検出系の確立にも成功した。 従って、現在までおおむね順調に計画が進展していると考えられるから。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、BLVに感染していない健康牛、BLVに感染しているがリンパ腫を発症していないBLV感染初期から感染後期牛、およびBLVに感染しリンパ腫を発症した牛の生乳と血液を収集する。 以下の項目とエクソソーム内包分子の動態との相関、およびBLV感染からリンパ腫発症までのステージを区分し、リンパ腫発症までのモニタリング検査に適した標的分子の組み合わせを明らかにする。 牛の月齢、白血球数、リンパ球数、トータルLDH、LDHアイソザイム、感染ウイルス量、その他。 さらにリンパ腫発症に至るプロセスを分子レベルで明らかにする。
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