2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of treatment and animal model for SFTS based on genome-wide screening.
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21H02361
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岡林 環樹 宮崎大学, 農学部, 教授 (10359995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 裕輔 大阪大学, 微生物病研究所, 特任教授(常勤) (00294124)
齊藤 暁 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30621792)
山田 健太郎 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70458280)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 重症熱性血小板減少症候群 / ゲノムワイドスクリーニング / マウスモデル / in vivoイメージング / 宿主因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)は2011年に 中国で初めて報告された、マダニ媒介性新興ウイルス感染症である。SFTSの致死率は15-20%にも及ぶが、現在までに特異的治療法は確立されておらず、対症療法中心の対応がとられている。その病態解明、予防および治療法開発は行われていない。そこで本研究では、ゲノムワイドスクリーニング法により、SFTSV増殖を制御する宿主因子を同定し、特異的治療法の開発につなげていく。また組換ウイルスを用いた超高感度in vivoイメージング解析により、正常な免疫能を持つ小動物モデルでの病態解明、治療効果を検証する。課題1: ゲノムワイドスクリーニングによる新規SFTSV増殖制御宿主因子の同定:CRISPR/Cas9ノックアウトライブラリーを用いてSFTSウイルス感染時の細胞変性効果(CPE)を指標にしたスクリーニングと、2)CRISPR-activationライブラリーを用いて蛍光タンパク質を発現できるSFTSシュードウイルスの易感染性を指標にしたスクリーニング、によってSFTSウイルス増殖に必須な宿主因子の網羅的同定を開始し、ウイルスの新規レセプター候補遺伝子を同定した。 課題2:新規小動物モデルとレポーター発現ウイルスを用いた病原性発現機構の解: M分節ゲノムプラスミド、L分節ゲノムプラスミドに加えて、レポーター遺伝子(BDFP1.8、NanoLuc、もしくはsecNanoLuc)をNS遺伝子の上流に2A配列で連結して配置した組換えS分節ゲノムプラスミドをそれぞれ構築した。また、組換えSFTSウイルス作出のために大臣確認実験の申請を行った。現在、大臣確認を待っている状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1: ゲノムワイドスクリーニングによる新規SFTSV増殖制御宿主因子の同定:CRISPR/Cas9ノックアウトライブラリーを遺伝子導入したHEK変異細胞ライブラリーを作製し、SFTSウイルス感染時の細胞変性効果(CPE)を指標にしたスクリーニングと、2)CRISPR-activationライブラリーを遺伝子導入した変異細胞ライブラリーを作製し蛍光タンパク質を発現できるSFTSシュードウイルスの易感染性を指標にしたスクリーニング、によってSFTSウイルス増殖に必須な宿主因子の網羅的同定を開始した。その結果、現時点ではウイルスの新規レセプター候補遺伝子を同定した。SFTSウイルスは三種ウイルスであり、その取扱いはBSL3施設を要し、微研感染症共同実験室が本研究課題遂行には必須の施設となっており、宮崎大学と大阪大学の研究グループの密接な連携(メールによる情報交換、ZOOMおよび微生物病研究所内でのディスカッション)のもと研究は遂行された。 課題2:新規小動物モデルとレポーター発現ウイルスを用いた病原性発現機構の解明:M分節ゲノムプラスミド、L分節ゲノムプラスミドに加えて、レポーター遺伝子(BDFP1.8、NanoLuc、もしくはsecNanoLuc)をNS遺伝子の上流に2A配列で連結して配置した組換えS分節ゲノムプラスミドをそれぞれ構築した。また、組換えSFTSウイルス作出のために大臣確認実験の申請を行った。現在、大臣確認を待っている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノムワイドスクリーニング(網羅的遺伝子ノックアウト)により、 SFTSウイルス増殖制御宿主因子の同定に取り組んだ。原理としては、約2万のヒト遺伝子に対するgRNAを発現するレンチウイル スベクターをSFTSウイルス感受性細胞に感染させ、そこにSFTSVを感染させると、ほとんどの細胞は細胞変性効果(CPE)を起こし死滅するが、ウイルス増殖に必須な遺伝子を欠損した細胞は生存する。 生存細胞について次世代シークエンサーにより欠損している遺伝子を決定し、候補遺伝子をリストアップする。その結果、複数の候補遺伝子を検出した。これらの候補遺伝子の発現系細胞を作製する。これらの候補遺伝子がウイルス侵入に影響するのどうかを、過剰発現、ノックアウト細胞により検証する。作製した細胞にSFTSウイルスを感染させ、ウイルス増殖レベル、CPE誘導性を評価する。 このようにして SFTSウイルスの増殖を正に制御する宿主因子を同定していく。ここで見出された増殖制御宿主因子については、受託サービスを利用してそれを導入/欠 失した遺伝子組換えマウスを作製する。 ウイルス感染性評価や病態解析を容易にするため、レポーター発現ウイルスの作製を行う。我々がマダニから分離したウイルス株で、既報(Brennan et al, J. Virol, 2015)を 参考にして組換えウイルス作製系を構築する。昨年度は、ウイルスNP、NSs、GP、RdRp遺伝子の5’末もしくは3’末 側にレポーター遺伝子を挿入した各分節ゲノムプラスミドを構築し、大臣認証申請を行った。大臣確認が得られれば、各ゲノムプラスミドを細胞に共導入して組換えウイルスの回収を試み、回収できた場合には組換えウイルスの各種性状解析を行い、SFTSウイルス増殖に必要な宿主因子の網羅的同定やin vivoイメージング解析に資するか検証する予定である。
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Research Products
(6 results)