2021 Fiscal Year Annual Research Report
delineation of renal oxygen homeostasis disorders using urinary exosomes
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21H02363
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
池田 正浩 宮崎大学, 農学部, 教授 (60281218)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腎薬理学 / 低酸素 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
人・獣医両領域において大きな問題となっている腎障害の発症の重要な分子メカニズムとして、腎酸素状態の異常が知られる。酸素の恒常性は2つのマスターレギュレーター、すなわち、NF-E2-related factor 2(NRF2)とhypoxia-inducible factor(HIF)によって維持されている。本研究の目的は、薬理学的モデル動物のエクソソーム(尿細胞外小胞)中の酸素恒常性マスターレギュレーター関連核酸分子をシステムバイオロジー解析することにより、「尿エクソソームを用いてO2病態を描出して腎疾患を診断できる」という仮説を検証・実証することである。 目的達成のために計画している研究項目は、(1)NRF2やHIF活性が変化するモデル動物を用いた網羅的解析、(2)システムバイオロジー解析によるバイオマーカー候補分子の選定、(3)疾患モデル動物を用いた実証研究の3つである。最終的にはこれらの結果を総合的に考察して、腎のNRF2やHIF活性を非侵襲的に捉えて、腎の酸素状態を描出する。そしてそれに基づく診断シーズを提案すること、腎病理学分野の理解を進展させることなどを行う。当初の研究計画では、最初の2.5年間で、1)および2)を、残りの1.5年間で3)を完成させることになっている。 現在までに腎のNRF2活性が変化した時に、尿中細胞外小胞画分において量が変化する核酸分子を10種類見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度には、(1)NRF2活性が変化する薬理学的モデル動物を用いて網羅的解析(マイクロアレイ解析)を実施した。バルドキソロンメチルは、KEAP1分子の構造を変化させるために、NRF2分子の分解が妨げられてNRF2が活性化する。この薬剤を用いて、NRF2活性が変化する薬理学的モデル動物をまず作製した。そして、その動物から腎および尿中細胞外小胞を採材してマイクロアレイ解析を行った。その結果、腎および尿中細胞外小胞画分で共通に2倍以上あるいは50%以下に変化する9種類のmRNA、および1種類のmiRNAを発見した。 以上述べたように、腎のNRF2活性を捉えられる可能性のある分子を見出したことから、当初計画の通りに順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進捗しているので、今後も計画通りに研究を進める。 2022年度には、NRF2活性が変化する薬理学的モデル動物由来の尿細胞外小胞中の核酸分子について、次世代シーケンシング(NGS)手法を用いた解析などを実施して、バイオマーカーとしての妥当性を検討する。さらには、HIF活性が変化するモデル動物の作製にも取り組む。現在臨床応用されているPHD(プロリン水酸化酵素)阻害薬にデュスタット系薬剤がある。この薬剤はPHDを阻害しHIFの分解を妨げて、HIFを活性化する。この薬剤を用いてモデル動物を作製する。
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