2021 Fiscal Year Annual Research Report
2型志賀毒素B鎖5量体不安定性要因の分子機構解明と第2世代志賀毒素ワクチン開発
Project/Area Number |
21H02367
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新川 武 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50305190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉城 志博 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (00720822)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 志賀毒素 / ワクチン / 5量体 / 分子安定性 / 変異体 / 豚の浮腫病 / 志賀毒素産生性大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第一世代の志賀毒素ワクチンのうち、特に豚の浮腫病ワクチンに引き継続き、第2世代志賀毒素ワクチンを開発することである。この第一世代豚浮腫病ワクチンは、Stx2eB鎖と同じく5量体形成するCOMPコイルドコイル分子(「結束分子」)を融合させたStx2eB-COMPである(COMP: Cartilage oligomeric matrix protein)。このStx2eB-COMPは、分子的に不安定なStx2eB鎖を同じく5量体を形成するCOMPと融合させることで、Stx2eB鎖本来の分子不安定性を克服することを狙ったものだが、本研究では、この第一世代ワクチン(Stx2eB-COMP)からさらに一歩進んで、第二世代ワクチンを開発する。しかし、その前にまず、Stx2B鎖5量体の不安定性要因を分子レベルで解明する必要がある。したがって、本研究では、Stx2B鎖5量体の(1)不安定性要因を分子レベルで解明し、その知見に基づき、(2)Stx2に対する第二世代ワクチンを開発する。これまで数十種類のStx2B鎖変異体を構築し、5量体分子安定性を解析してきた結果、1か所の重要なアミノ酸残基(位置)を特定するに至った。すなわち、この位置のアミノ酸を置換することと、Stx2B鎖5量体の分子安定性が向上することが分かった。
より具体的には以下の手順で研究を進めた。 1.Stx2を用いた毒素攻撃試験系(マウス)を確立した。すなわち、まずStx2e産生性大腸菌(STEC)からStx2e毒素を分離精製した(玉城)。次に、精製Stx2eを用いてマウスの半数致死量を決定した(玉城)。 2.タンパク質産生に成功した上述の変異体を含む数種類の変異体を精製し、上記1で確立したマウスの毒素攻撃試験系で各変異体のワクチン機能を検証した(新川)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで数十種類のStx2B鎖変異体を構築し、5量体分子安定性を解析した。その結果、ひとつの重要アミノ酸残基を特定した。すなわち、このアミノ酸残基を置換すると、Stx2B鎖5量体の分子安定性が向上した。本成果に基づき、本事業は「概ね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで数十種類のStx2B鎖変異体を構築し、5量体分子安定性を解析した結果、ひとつの重要なアミノ酸残基(位置)を特定することができた。今後さらに解析を進め、上述の箇所以外にも重要なアミノ酸残基の存在を特定することで、さらに分子安定性が向上するか解析し、第二世代志賀毒素ワクチン開発の基盤技術とする。
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