2023 Fiscal Year Annual Research Report
比較病態モデルによる難治性ミエリン疾患のメカニズム解明
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21H02368
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
桑村 充 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (20244668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 美有 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 助教 (00756893)
井澤 武史 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (20580369)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | オリゴデンドロサイト / ミエリン / モデル動物 / 多発性硬化症 / 脱髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
Aspaノックアウトラットでは顕著な空胞化が認められたものの、神経症状は認められなかった。Aspaノックアウトマウスにおける神経細胞への影響を評価するため、F344ラットおよびAspaノックアウトラットの生後24~26週齢における神経細胞マーカー(NeuNおよびCalbindin)を用いた免疫組織化学を行った。その結果、大脳空胞化領域(視床下部や皮質運動野)におけるNeuN陽性神経細胞に形態的な変化は認められず、陽性細胞数にも変化は認められなかった。小脳においても、抑制性ニューロンのマーカーであるCalbindin陽性細胞に形態的な変化や数の変化は認められなかった。 さらに,中枢神経空胞化領域におけるグリア細胞の変化を解析するため、各種グリア細胞マーカーを用いて免疫染色を実施した。Iba-1(ミクログリア)、OLIG-2(オリゴデンドロサイト)およびGFAP(アストロサイト)に対する免疫組織化学の結果、Aspaノックアウトラットでは、Iba-1陽性細胞数の増加ならびに細胞体の肥大が認められ、GFAP陽性細胞の増加および肥大も認められたが、OLIG-2陽性細胞数に変化は見られなかった。また、Iba-1およびGFAP染色では、血管周囲を取り囲むように活性化した陽性細胞が認められ、石灰沈着部位において顕著であった。 以上より、成体のAspaノックアウトラットの中枢神経空胞化領域において、神経細胞や髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトに変化は生じないものの、アストロサイトおよびミクログリアの活性化が生じることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで検索してきたAspaノックアウトの詳細な解析を追加するとともに,論文を作成,投稿し,Exp Anim誌への掲載が決定した.ミエリン形成時の細胞内輸送の異常に基づくミエリン変性を特徴とするVFラットにおけるオリゴデンドロサイトの動態解析のデーターを整理し,投稿準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
神経細胞内の物質輸送の障害によってミエリン変性が生じると考えられるDopey1遺伝子のF344コンジェニックラットおよびオリジナル系統を用いて,in vitroでの物質輸送に関わる分子の動態を解析する.そのための細胞培養および細胞内輸送関連蛋白の発現解析の準備を進めている.
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