2023 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞レクチンシグレックの新規リガンド結合部位の証明と新しい免疫制御機構の解明
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21H02425
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 ちひろ 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10343211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 迪 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 助教 (10817547)
田中 浩士 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (40334544)
長江 雅倫 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60619873)
羽根 正弥 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (70853331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シアル酸 / シグレック / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫において、免疫細胞上で活躍する分子群としてレクチン(糖鎖認識分子)が存在する。レクチンは特に糖鎖を介した自己・非自己の認識に長けており、自己の場合には免疫細胞は抑制状態のままであるのに対して、非自己の場合では活性化状態へと導かれる。このような自然免疫に関わるレクチン分子群の中でも、シグレック(Sialic acid-binding immunoglobulin-like lectin; Siglec) は最も大きなファミリーとして近年注目されている。SiglecのV-setドメインにはSiglec-12以外のSiglecに共通するSia結合に重要なアミノ酸残基アルギニン(R)が存在し、そのRを含む領域がSia結合ドメイン(Site1と呼ぶ)と考えられていた。我々はこれまでsite1の他にシアル酸の結合に関連するsite2の存在を示してきた。特に、siglecはnatural ligandや、その複雑なリガンド認識機構の全貌は謎のままであり、我々はsite1とsite2がその複雑なメカニズムに関与すると考えている。本研究では (1) Siglecがどのように細胞表面のSia構造を”特異的”に認識しているのか?、(2) natural ligandは何であるのか?、(3) Siglecではどのようにリガンド結合・リガンド解離が行われるのか?という問いを明らかにすることが目的である。本年度はSiglec7のリガンドを分泌型として発現し、調整すること、また責任酵素を同定し、その候補遺伝子の発現状態を変化させた細胞を用意し、その細胞から分泌されたリガンド上の糖鎖構造を、グライコミクスにより決定した。その結果、SIglec7が結合する特異的な糖鎖構造を明らかにすることができた。加えてNK細胞から糖脂質画分を調整し、その糖鎖構造を質量分析により明らかにしたところ、新規な糖脂質の存在が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、Siglecの性質から結晶化ではない方法に変更し、その後は順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回Siglec7の結合に関与する新しい糖鎖構造を糖タンパク質上および糖脂質上に発見した。これは既存の糖鎖構造マップには載っていない構造である。そのため、その構造の詳細な解析を第一に進めていきたいと考えている。従って、配列から予想されるsite2の存在証明のための生化学的な解析は、その糖鎖構造の解析の進行度合いによっては、全シグレックではなく7, 9, 11, 12に限定して行う可能性がある。
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