2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a prognosis prediction model for Alzheimer's disease using integrative multi-omics data
Project/Area Number |
21H02470
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
重水 大智 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, メディカルゲノムセンター, 部長 (70617464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 浩一 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, メディカルゲノムセンター, 部長 (50373288)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / ゲノムシークエンス / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の高品質・大規模な試料・データを保有している国立長寿医療研究センターのバイオバンクから、少なくとも1年以上フォローアップした軽度認知障害(MCI)者のゲノムデータ、遺伝子発現データ、 臨床情報のマルチオミクス統合解析からアルツハイマー病(AD)への移行に関わる発症移行リスク因子を網羅的に探索、同定し、AD発症予測診断システムの開発を行うことを目的とする。 本年度は全ゲノムデータに着目し、AD関連遺伝子変異の同定を行った。日本人AD患者140名と認知機能正常高齢者(CN)798名の全ゲノムシークエンスデータの解析、および1604名のAD群と1235名のCN群からなる検証コホートの解析から、嗅覚受容体遺伝子OR51G1のミスセンス変異(rs146006146, c.815G>A, p.R272H)がAD関連遺伝子変異であることを見出しました(オッズ比 = 2.2)。また、遺伝子ベースの関連解析から、ネクロトーシスに関わるMLKLがAD関連遺伝子候補として見出されました。この遺伝子上から6箇所のレアバリアントが確認され、その1つのストップゲイン変異(rs763812068, c.142C>T, p.Q48X)が検証コホートの解析からAD関連遺伝子変異であることが見出されました。ヒト培養細胞を用いた機能解析を行ったところ、このMLKL変異は遺伝子発現の消失に関与し、ネクロトーシスを阻害していることが示されました。さらにMLKLはADのバイオマーカーのひとつであるアミロイドβ蛋白(Aβ)に関連する分子Aβ42/Aβ40比を減少させる効果があることも実証しました。これらの結果からMLKLのストップゲイン変異は、MLKLの発現を消失させ、それによって本来なら死ぬべき異常細胞が蓄積され、LOADの発症を誘発した可能性が示唆されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模なゲノムシークエンス解析から新規AD関連遺伝子変異を同定することができた。また遺伝子発現データの取得も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず網羅的な遺伝子発現のデータ測定をRNA-seqを用いて実施する。次にゲノムデータ、遺伝子発現データのデータ統合化を行い、データベースの構築を行う。最終的にはこの膨大なゲノム・遺伝子発現データセットから最適なバイオマーカーの組み合わせを探索する。ゲノム変異と遺伝子発現の関係を示すeQTLに着目し、eQTLをバイオマーカー候補とし、AD移行予測診断システムの開発を行う。開発した予測システムは、独立した前向きコホートデータを用いてその予測能を検証する。
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