2022 Fiscal Year Annual Research Report
体表呈色を解き明かす張力を引き金とした新規メラニン輸送小胞の形成原理
Project/Area Number |
21H02491
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
田所 竜介 岡山理科大学, 生命科学部, 准教授 (50425633)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 体表呈色 / メラニン / メラノサイト / ケラチノサイト / 細胞間輸送 / オルガネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は体表のメラニン呈色時に生じるメラノサイトから表皮ケラチノサイトへのメラニン色素輸送のメカニズムを解き明かすことを目標として、自身が確立し たニワトリ胚表皮の解析系において見出した大型の輸送小胞の形成メカニズムの解明を目指す。この大型小胞の形成のメカニズムは現時点で全く未知のものであり、本研究を通して、メカニズム解明の糸口となる現象を基礎的な観察を収集することからはじめる必要がある。研究実施計画に記載したとおり、体表呈色時に生じる大型輸送小胞の形成機構を探る一環として、分子プローブやデバイスなどを用いた解析から、メラノサイトの樹状突起のくびれ切れについて、形成機構解明に向けた情報収集を進めた。複数の蛍光プローブを用いた解析を進めたが、FRETを用いた張力センサーは論文の報告のようには可視化がうまく行かず、他の測定法を模索するという課題が残った。代謝の変化が膜の硬さや挙動などの変化に寄与する可能性も想定し、酸化的リン酸化と好気的解糖の変化についても解析したが、現時点では、小胞形成期に明瞭な変化は検出できなかった。くびれ切れ時の細胞骨格についても解析を進め、くびれ部分のアクチンに関して記載を行った。張力を与える手法についても、その解析ツール類の整備や、突起に力を加えるなどの試みを行った。未知な現象のため、なかなかメカニズムの解明には至らないが、一歩ずつ小胞形成機能の理解に向けて、有用な情報収集ができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のように、アクチン動態などについての解析が進行しているが、FRETを用いた張力センサーは論文の報告のようには可視化がうまく行かず、同プローブについてさらなる検証を行いつつ、他の測定法も模索するという課題が残った。小胞形成機能の理解に向けて、一歩ずつ情報を収集しつつあるが、当初予定したほど多くの情報を得るまでには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を通して、大型小胞の形成機構の糸口をつかむべく、蛍光プローブによる解析は継続的に行う必要がある。有用なツールの探索を常時行なっており、適切なプローブを発見し次第、解析を行なってゆく予定である。また解析用のデバイスについても、専門家の助言を仰ぎ、必要に応じてデバイス作成を依頼する。解析をより効率よく行うために、より成体内に近い自然な状態で色素輸送を観察できるイメージング法の開発と、イメージングにおいて問題となる蛍光の退色についても改善をはかるつもりである。
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