2023 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学と全脳イメージングで解明する「複数型ドーパミン受容体による学習の多重制御」
Project/Area Number |
21H02533
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
木村 幸太郎 名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (20370116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 拓人 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20753627)
加藤 昇平 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70311032)
疋田 貴俊 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (70421378)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ドーパミン / 学習 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先端的な分子遺伝学的技術・光学技術・データ科学的解析を組み合せることで、C. エレガンスで複数タイプのドーパミン受容体がひとつの「学習」を実現するメカニズムを解明すること、さらにマウスでの相同遺伝子解析により、新しいタイプのドーパミン受容体が高等動物においても重要な脳機能に関与するか否かを明らかにすることをめざしている。R5年度の研究実績の概要は以下である。 [1] 分子遺伝学的解析による新しいタイプのドーパミン受容体の機能細胞の同定:2022年度は、新タイプドーパミン受容体変異体がどの神経細胞でcDNAを発現することで忌避匂い学習異常を回復するかについての解析を開始した。2023年度は、cDNAを発現させることで個体としての表現型が回復する神経細胞グループを複数明らかにした。 [2] カルシウムイメージングによる学習前後の全脳神経活動の計測と、情報科学的解析による学習依存的な神経活動の抽出:2022年度は新たにイメージング用の形質転換株を作り直したことで、期待された神経活動が得られ、これまでに学習あり/無しの条件で全脳神経活動を取得した。2023年度は、さらに多色蛍光による細胞同定技術 (NeuroPAL; Yemini et al., Cell 2021) と全脳活動計測を統合することで、忌避匂いに応答する神経細胞を同定するための予備的なデータを取得した。 [3] 哺乳類での新しいタイプのドーパミン受容体の解析:2022年度にAlphaFold2を用いた立体構造によって、ドーパミン結合に重要なアミノ酸残基の推定を開始し、2023年度には数個のアミノ酸残基に絞り込むことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[1] 分子遺伝学的解析による新しいタイプのドーパミン受容体の機能細胞の同定:順調に進行している。
[2] カルシウムイメージングによる学習前後の全脳神経活動の計測と、情報科学的解析による学習依存的な神経活動の抽出:全脳活動計測に関しては、手動で行っていた時間のかかるステップを半自動化することによって作業効率を数倍に向上させることに成功した(投稿準備中)。
[3] 哺乳類での新しいタイプのドーパミン受容体の解析:本研究開始後に人工知能などを用いた立体構造予測を開始したが、順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
[2] カルシウムイメージングによる学習前後の全脳神経活動の計測と、情報科学的解析による学習依存的な神経活動の抽出:学習あり/無しの条件で全脳神経活動計測と多色蛍光による細胞同定を組み合せることで、どの神経細胞に学習依存的変化が生じているかを明らかにする。 [3] 哺乳類での新しいタイプのドーパミン受容体の解析:AlphaFold2などから推定したドーパミン結合に重要なアミノ酸残基をゲノム編集などによって置換し、重要性を実験的に明らかにする。
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