2023 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary genomic basis of sexual weapons and its constraints
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21H02540
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡田 泰和 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (10638597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 賢祐 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (40550299)
後藤 寛貴 静岡大学, 理学部, 助教 (60737899)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 武器昆虫 / 表現型可塑性 / 性選択形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
武器を持つ甲虫であるオオツノコクヌストモドキおよびモモブトハムシにおいて,栄養条件や性,器官ごとに発現変動する遺伝子の探索を高速シーケンスにより 行い,武器形成遺伝子の候補を探索した.オオツノコクヌストモドキについては,性に偏った発現をする23遺伝子について終齢幼虫期にノックダウン解析を行った.その結果,fatやdacなど細胞接着に関わる遺伝子を含む4つの遺伝子で武器形態への影響を検出でき,メスで多量に発現する遺伝子の中にも武器形態を抑制的に制御する遺伝子 や武器形態に関与するものが見つかってきた. また,武器サイズを決める主要な因子の一つと目されるインスリン様ペプチドについて,カブトムシやノコギリクワガタ,モモブトハムシでバイオインフォマティクス解析を行い,いずれの種も4つから6つ程度のインスリン様ペプチドを持つことを確認した.とくにインスリン型のインスリン様ペプチドには頻繁に遺伝子重複が起きていることが示唆された.また,オオツノコクヌストモドキについては,インスリン様ペプチド2(ILP2)が武器サイズのみならず, 闘争行動や内部の脂肪貯蔵状態,活動性など様々な形質に影響することが明らかになってきた. これらの結果はILP2が祖先的に持っていた武器サイズ以外の栄養貯蔵や代謝の機能を示唆するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オオツノコクヌストモドキについて,ゲノム配列解析や発現遺伝子解析をもとに,性に偏った発現をする23遺伝子についてのノックダウン解析が進んだ. fat, dachsousなどの細胞接着因子や未知の転写因子が武器の形状に影響を与えることを明らかにした. この成果について,PLoS Genetics誌に発表することができた. また他の甲虫種(カブトムシやノコギリクワガタ)においても,インスリン遺伝子の多様性解析が着実に進んでおり,全体としておおむね順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
武器サイズを決める主要な因子の一つと目されるインスリン様ペプチドの作用について,武器以外の代謝や飢餓耐性とのトレードオフ関係をもたらすことが示唆されている.武器を遺伝子ノックダウンで実験的に小さくした個体について,代謝レベルや飢餓耐性を調査する.さらに,様々な甲虫種でバイオインフォマティクス解析を行い,各種が多数のインスリン型インスリン様ペプチドを持つことを確認できている,今後は様々な甲虫種でノックダウン解析を行い,多様なインスリンの武器形成への寄与の実態を明らかにし, 種間比較により共通性と多様性を検証する.
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