2021 Fiscal Year Annual Research Report
“光によらない”葉緑体の炭酸同化能力と進化的原動力を紐解く
Project/Area Number |
21H02554
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
谷藤 吾朗 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (70438480)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮沼 誠久 神戸大学, 先端バイオ工学研究センター, 教授 (20529606)
矢吹 彬憲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), グループリーダー (20711104)
伊藤 元雄 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), グループリーダー代理 (40606109)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 非光合成葉緑体 / 炭酸同化 / 比較ゲノム / クリプト生物 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
非光合成にも関わらず炭酸同化を行い無機培地で増殖する真核生物の可能性を見出した。そこで本研究ではその背後にある分子機構と進化原動力を解明する。1)詳細な培養実験と透過型電子顕微鏡、超高解像度二次イオン質量分析機による炭酸同化物の細胞内局在・動態解析、2)同位体メタロボーム解析による、炭酸同化物の位置情報と代謝物の情報を組み合わせ、炭酸同化の代謝経路を明らかにする。加えて、3)全遺伝子発現解析、近縁種との比較ゲノム解析により、上記代謝経路の遺伝的背景を補強し、未知の有機物合成経路を生み出した進化多様性原動力の推定を行う。 本年度は研究計画通り、ゲノム配列の取得と詳細な培養実験、細胞バルクでの13Cトレーサーの検出を主に行なった。ゲノム配列は長鎖、短鎖のリードを取得した。予測よりもゲノムサイズが大きいことから若干のデータを追加する必要があったが研究計画に支障はない。また、培養実験の結果から細胞内での13Cトレーサーが蓄積する条件を特定した。そこで22年度から予定していた超高解像度二次イオン質量分析機での解析を前倒して開始した。同位体メタロボーム解析では、モデル生物での実験手法では良好な結果を得られないことが発覚したが、条件検討の結果、解析法を確立した。また、全遺伝子発現解析の基礎データは取得済みであり、おおまかなアノテーションと培養条件の違いによる遺伝子発現パターン変動の解析を行なった。来年度から詳細な相互比較解析を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りの成果に加え、22年度から予定していた超高解像度二次イオン質量分析機での解析を前倒して開始し、単一細胞内での13Cの蓄積を確認した。同位体メタロボーム解析では、モデル生物での実験手法では良好な結果を得られないことが発覚したが、条件検討の結果、解析法を確立した。また、全遺伝子発現解析の基礎データは取得済みであり、来年度から詳細な比較解析を行う。ゲノム解析については、予測よりもゲノムサイズが大きいことから若干のデータを追加する必要があったが研究計画に支障はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
21年度から先行して始めた超高解像度二次イオン質量分析機での解析、同位体メタロボーム解析を予定通り行う。また、全遺伝子発現解析から推察される遺伝子発現変動とタンパク質の局在解析を進める。それらの詳細な相互解釈により、”何が””どこで””どのタイミングで”行われているかを明らかにする。また比較ゲノム解析についても本年度から本格的に進める。
|