2022 Fiscal Year Annual Research Report
In-cell分光法によるアミロイドβ産生制御機構・構造変化の解明と創薬
Project/Area Number |
21H02615
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松崎 勝巳 京都大学, 薬学研究科, 教授 (00201773)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 健一 京都大学, 薬学研究科, 助教 (70732874)
星野 忠次 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (90257220)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)FTIR-ATR法を用いて、Aβ42がSH-SY5Y細胞上でつくるアミロイド線維が逆平行βシート構造を有することが明らかとなった。また、この構造は60時間の間、ほとんど変化しなかった。 2)Aβ40の水中線維と細胞膜中線維をCongo redで染色し、その蛍光スペクトルを取得したが、両者で違いは見られなかったことから、本色素での両線維の区別はできないことが分かった。また、Curcumin染色も試みたが、細胞膜の非特異的な染色が見られたため、本色素も使用不可であった。 3)Aβ40の2残基ずれの逆平行βシート構造をクロスリンクにより調製したが、顕著な細胞毒性は見られなかったことから、in-resister平行βシート構造との共存が毒性に重要であると考えられる。 4)細胞膜上での2種のAβ(40および42)が共存するときのAβ凝集挙動を蛍光標識Aβを用い、蛍光相関分光法で調べたところ、一方のAβの凝集は他方の存在にあまり影響を受けなかったことからAβ40と42は、独立して凝集すると予想される。 5)細胞膜中線維→水中線維の構造変化評価系構築のため、細胞膜中線維を単離することに成功した。 6)商用の化合物データベース(473万エントリー)を用いて、Aβ40に結合する化合物の計算機スクリーニングを実施した。このスクリーニングで見出した化合物数種が細胞上でのAβ線維形成と細胞死を阻害できるかを検討したところ、細胞死を抑制する化合物を見出した。また、これまでの研究で得られたヒット化合物の類似化合物の探索を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞膜中線維の単離に成功し、構造変化解析の準備ができ、また、Aβによる細胞死を抑制する化合物を見出せたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)単離した細胞膜中線維をseedとして、線維伸長を行い、構造変化を解析する。 2)見出したAβによる細胞死を抑制する化合物について、用量依存性、作用機序などを詳細に検討する。 3)商用の化合物データベースからの大規模スクリーニングの研究を進め、溶解性などの物性から、薬物として有望な化合物を絞り込む。 4)APPのモノマーーダイマー平衡を制御している因子を明らかにする。
|