2021 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of a new Vero cell system to be the basis for coronavirus research and vaccine development
Project/Area Number |
21H02630
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
花田 賢太郎 国立感染症研究所, 品質保証・管理部, 主任研究官 (30192701)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桶本 優子 (中村優子) 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (30392319)
齊藤 恭子 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (70235034)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 宿主細胞 / Vero細胞 / コロナウイルス / 内在性レトロウイルス / アポダイズド位相差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では(1)Vero細胞のゲノム編集等を通じて、コロナウイルス(CoV)を効率よく増殖させ、CoVワクチン細胞基材ともなりえる新規細胞株を作出する、(2)Vero細胞ゲノムに存在する完全長で変異のない内在性レトロウイルス(SERV)の感染リスクを評価し、Vero細胞で作られるワクチンの安全性の確保に資する、(3)CoV感染に特徴的な細胞内構造の変化を無染色・非侵襲条件下にリアルタイムで解析してウイルス生活環の基本情報を提供する、という3つの目標を掲げている。以下に本年度の実績を述べる。 1)SARS-CoV-2(CoV2)の増殖効率を向上させた新規Vero細胞株の樹立を目指し、Vero細胞の亜株の一つであるVero細胞JCRB9013株にⅡ型膜貫通型セリンプロテアーゼTMPRSS2を安定発現させた細胞株を作出した。また、すでに我々が樹立したポリオウイルス受容体(PVR)欠損Vero細胞についても、TMPRSS2安定発現株を得た。2)Vero細胞ゲノムに存在するSERV遺伝子を導入したHEK293FT細胞の解析により、SERVがウイルス粒子産生能を持つ可能性が示唆された。 一方で、CoV感受性が高いとされるVero細胞E6株の全ゲノム配列解析等も行った。3)ヒトの季節性コロナウイルスであるCoVOC43株とCoV2感染細胞についてアポダイズド位相差顕微鏡による観察を試みた。CoV OC43感染細胞については、細胞変性効果が明瞭には観察できなかったので、感染条件の検討が必要と考えられた。CoV2感染細胞については、空胞変性や細胞融合といった細胞変性を明瞭に捉えることが可能であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響のため実験にかけられる時間数に限りはあったが、実験計画を見直すなどして効率のよい計画推進を心がけたので令和3年度当初に掲げた進捗目標はほぼ達成できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)TMPRSS2産生Vero細胞およびTMPRSS2産生PVR欠損Vero細胞について、CoV2の増殖効率が向上しているか、複数のCoV2株(従来株、デルタ株、オミクロン株等)を用いて比較し、評価する。また、ヒトTMPRSS2遺伝子に見られる多型が、COVID-19罹患患者の病態に影響する可能性が指摘されていることにも着目し解析を行う。まず、Vero細胞のTMPRSS2遺伝子を欠損させた細胞株を樹立し、さらに、様々な ヒトTMPRSS2遺伝子多型を安定発現させた細胞パネルを構築する。これら細胞株を用いた解析により、ヒトTMPRSS2遺伝子多型がTMPRSS2のプロテアーゼ活性やCoV2感染効率に変動を与えるかを解析する。 2)Vero細胞由来SERVの粒子産生能についてより明確な結果を得るために、陰性コントロールを検討する。また、SERVの感染能を検出する系を構築し、感染能を評価する。 3)アポダイズド位相差顕微鏡のシステムにおける観察により、CoV2感染に特徴的な細胞内構造の変化を高解像度で検出可能であることが確認されたため、CoV2感染による形態変化がより顕著であるオルガネラを特定した後、適当なマーカーを用いた蛍光標識等の手法をあわせ、より詳細な観察を行う。特に、Vero E6/TMPRSS2細胞ではシンシチウムが観察されるなどCOVID-19罹患患者の病理像に類似した細胞変性効果を示すことから、本研究において作出するTMPRSS2安定発現9013細胞においても同様の細胞変性を示すか、また、COVID-19の病態解明につながる知見が得られるかについて検討をすすめる。CoV OC43の感染では感染細胞を特定しやすい感染条件等を検討する。
|
Research Products
(3 results)