2021 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品骨格含有新規天然物群の生合成機構解明および改変による薬用活性化合物の創出
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21H02636
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
淡川 孝義 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (80609834)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 二次代謝酵素 / 合成生物学 / 補酵素 / NAD / SAM |
Outline of Annual Research Achievements |
天然物の生合成酵素を利用した合成生物学による物質生産は、位置、立体選択性に優れた、クリーンかつ経済的な次世代創薬技術として大きな注目を集めている。申請者は、α二置換アミノ酸、スルホンアミドなど、医薬品や有機溶媒などで汎用される骨格を持つ天然由来抗がん化合物アルテミシジンに注目し、その生合成酵素反応をin vitro反応、異種発現実験にて解析した。その結果、鍵酵素であるPLP依存性酵素SbzPは補酵素NAD、SAMを受け入れ、二回のC-C結合を形成する特異な酵素であることを示すことに成功した。本報告はNADを受け入れる二次代謝酵素の初の報告であり、NADが基質として受け入れられ生成物合成材料として用いられる新たな生物学機能を示したという点で生物学的に極めて重要性が高く、その成果はNature誌に掲載された。また、SbzPの生合成下流の、αKG依存性酸化酵素SbzQによる水酸化、アシル転移酵素SbzIによるスルホンアミド転移、異性化酵素群SbzNOHによる脱アデノシルリボース反応、F420依存性酸化還元酵素SbzFによる不飽和還元、メチル化酵素SbzEによるNメチル化反応が起き、その結果、アルテミシジンが生成する一連の反応を全てin vitroで再構成することに成功した。SbzOはNADase活性を持つTIRドメインタンパク質BtpAのホモログであり、二次代謝経路では初の同定例であったため、生物学的にもその分布、構造機能に興味がもたれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ターゲット天然物の生合成酵素反応の同定に成功し、Nature誌に論文を投稿し、受理された。現在、酵素の構造機能解析、非天然型化合物の生産につなげるべく研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
酵素の構造機能解析を進め、その構造情報を利用して、非天然型の活性化合物の生産につなげる。SbzP生成物はまた、SbzPの前例のないアザインダンジヌクレオチドであり、NAD類似の医薬品骨格に共通する骨格を持つ。そのアシル基修飾に関与するGNAT型アシル基転移酵素SbzI、アシルtRNA synthetase様アミド合成酵素SbzAを利用して、その骨格修飾を行い、物質生産につなげる。SbzPの触媒機能解明のために、X線結晶構造解析に取り組んでいたが、クライオ電子顕微鏡解析に切り替えた所、不安定な酵素についても構造解析が可能となっている。構造生物学の新規技術を駆使して、迅速に解析を進める。また、SbzIのホモログ酵素には、同じファミリーであるものの、相同性が低い物が放線菌やPseudomonas属細菌に分布しており、これらを用いて骨格修飾し、新規物質生産につなげる。
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Research Products
(26 results)