2022 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical investigation of traditional medicines for controlling infectious diseases, including zoonosis, oriented to eliminate pathogens and vectors
Project/Area Number |
21H02638
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
村田 敏拓 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (70458214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 紘一 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (20584460)
武田 洋平 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 助教 (30804447)
菅沼 啓輔 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (60772184)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人獣共通感染症 / モンゴル国 / 薬用植物 / 病原性原虫 / 病原性ウイルス / トリパノソーマ / 媒介者 / マダニ |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症や、病原体媒介性マダニにより伝播する原虫病など、人獣共通感染症が世界的な脅威となっている。予防法や治療法が十分に確立されておらず、現行薬への耐性化も進行している。感染予防と治療には媒介者・感染源対策を含む包括的対処が急務である。 初年度から継続的に課題植物を選定している。1. 従来からのモンゴル国共同研究成果を整理した中から (J Nat Med, 2021, 75, 729-740)、次の課題植物を選定。2. モンゴル国側協力者のサポートの元、現地で問題となるマダニに殺虫活性を示す植物エキスから選定。3. 現地で感染症やその症状に使用される植物から選定。4.日本側分担者による抗原虫活性やウイルス不活化活性スクリーニングから選定。このように選定した各課題植物について、順次主要成分解析を行っている。 前年度記載したDracocephalum属植物から得た抗ウイルス活性の論文報告に続き、マメ科Cassia abbreviata (J Nat Prod, 2022, 85, 91-104)やシソ科 Scutellaria scordiifolia (Phytochemistry, 2023, 209, 113615)から抗トリパノソーマ活性物質を見出して報告した。媒介者をターゲットとした物質探索については、現地協力者によりモンゴル国に生息するマダニDermacentor nuttalliに対して活性を示した植物と同属で日本に自生するものを選定の上、成分解析を続けている。 上記で明らかになった活性化合物を参考に、分担者によって合成が試みられており、中間生成物も含めた化合物について、抗原虫・抗ウイルス活性の評価が続けられている。 成果は随時、学会発表・論文発表等により公開しており、各研究課題も次の展開へと順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はコロナ禍で現地での活動が叶わないなど、当研究課題の遂行にあたって一部制限があった。一方で、計画時点で想定済のことであったため、その対策として、これまでに有力な活性を示した植物の近縁種や含有成分が類似すると想定される植物も課題に加えた。この方針に沿って、日本産をはじめモンゴル国産以外の課題植物についても、含有成分解析とその生物活性評価ならびに鍵化合物の化学合成の検討を行っている。またモンゴル国で活動を行っている日本側若手研究者のネットワーク構築を図るため、2022年6月に分担者やモンゴル国留学生を含む8名で日蒙連携研究討論会を仙台で行った。 2022年4月・8月・2023年1月には当研究課題の研究代表者が (JICAの活動を兼ねる)、また2022年8月に分担者1名がモンゴル国に渡航し、それぞれモンゴル国立大学、モンゴル獣医学研究所の現地協力者と協議を行い、フィールドでの家畜動物・マダニの観察や、現地で進められる実験を行った。また現地協力者との良好な関係の維持と構築にも力を入れている。 抗原虫活性でマメ科植物、抗ウイルス活性でユキノシタ科植物、媒介者対策でキク科植物のいずれも特定の「属」にターゲットを絞り始めることができており、主要成分について単離・構造決定を進めている。一方で、化学構造決定中の化合物も多く残されており、解析を続けている。病原性原虫・ウイルス・マダニ・昆虫等に対して影響を及ぼす活性化合物の評価・検討も分担者とともに順次行い、この知見から選んだ鍵化合物の合成がいくつかターゲットを設定した上で、分担者を軸に現在進められている。このように、1.課題植物の選定、2. 代表的含有成分の探索、3. 抗原虫・抗ウイルス活性試験、4. 媒介者対策、5. 鍵化合物の合成について、複数の題材を平行して進め、今後は各病原体や媒介者ごとに、構造活性相関を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題期間を通して行う計画であるが、従来から国際共同研究を精力的に展開している現地熟練研究者に加え、次世代を担う現地若手研究者との発展的な関係構築にも力を入れたい。特に代表者が研究指導を務め、東北医科薬科大学で博士の学位を得た留学生たちが各分野で活躍していることから、その関係性を活用する。日蒙の若手を中心とした研究メンバーで、モンゴル国に特徴的な生態系と大陸性気候の中で生きる遊牧家畜動物と自生植物を観察の上、感染症の病原体や媒介者、またそれらと哺乳動物・ヒトや自生植物を含めた関係性の実態を把握し、感染症対策に資する植物資源や医薬シーズを見出すことを目指す。 上記を実現するために2023年度は、本研究課題の代表者・分担者全員のモンゴル国渡航を予定している。モンゴル国立大学やモンゴル獣医学研究所で、それぞれ薬用植物や感染症を題材とした研究討論会の開催を計画しており、現地研究者と意見交換を行う。また、フィールドでの観察や実態の把握、また若手ゆえに新規課題の探索も渡航期間内に実施する。 研究面では、継続的に、I. 課題植物から成分を単離し、その化学構造を決定する。II.得た化合物について、実際の病原体・媒介者・感染源動物を対象に多角的に活性を評価する。III. 合成関連化合物創出の上で構造活性相関を検討する。という基本手順を軸として予防と治療に向けた感染症制圧シーズを迅速に提案することを目指す。 特に課題植物については、進捗状況の欄で記載した通り、これまでに抗原虫・抗ウイルス・媒介者対策とでそれぞれターゲットが絞ることができつつある。もちろん今後の展開の中で、新たに有望な題材が認められれば柔軟に対応するが、それぞれのテーマについて軸となる成果の提示を試みたい。 今年度も現地協力者との互恵的な協力関係を維持・発展させながら進める予定である。
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Remarks |
本研究課題の成果は随時、リサーチマップ(村田敏拓)、及びGoogle Scholar (MURATA Toshihiro)で説明・公開しています。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Flavonoids, iridoids, and a phenanthrene isolated from Scutellaria scordiifolia and their Trypanocidal activity2022
Author(s)
Stipan Nurbyek, Toshihiro Murata, Buyanmandakh Buyankhishig, Keisuke Suganuma, Yoshinobu Ishikawa, Mika Kutsuma, Marie Abe, Kenroh Sasaki, Javzan Batkhuu
Organizer
日本生薬学会第68回年会
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