2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of new function of Noggin, a BMP inhibitor, in cerebral infarction and spinal cord injury
Project/Area Number |
21H02655
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山岸 覚 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40372362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 淳一 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40568664)
福司 康子 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任助教 (50722683)
川内 健史 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員(上席・主任研究員クラス) (60397544)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アストロサイト / 脳梗塞 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞が生じるとアストロサイトは脳室下帯で分裂し、梗塞巣周囲部へと素早く移動しグリア瘢痕を形成し、やがて囲まれた神経細胞は脱落する。このアストロサイトは梗塞巣周囲部に留まり、梗塞巣内に入っていくことはない。しかしながら、アストロサイトが梗塞巣内入って行かないのか、そのメカニズムは殆ど解明されていない(Benner et al., Nature, 2013; Feiz et al., Cell Stem Cell, 2015)。申請者は骨形成因子(BMP)阻害因子として知られているNogginが、このアストロサイトの移動に関わっているのではないかと考えた。 中大脳動脈結紮モデルにより脳梗塞を作成し、Nogginの発現パターンについて、免疫染色にて解析を行った。その結果、梗塞直後から発現が増え始め、3日目に梗塞巣内の境界部に多く見られ、2週間後にも強く発現が持続した。これはちょうどアストロサイトが侵入して来ない境界部に相当する領域であった。また、様々な細胞種マーカーとの共染色により、この細胞はIba1陽性のミクログリアであることも判明した。さらには、Nogginの発現を可視化するNoggin-GFPマウスを用いて解析を行った結果、梗塞層との境界でシート状に梗塞領域との境界を形成していることも明らかとなった。一方、脊髄損傷におけるアストロサイトの集積・グリア瘢痕形成においては、脳梗塞と同様Nogginの発現上昇が見られるものの、コア領域ではなく、集積して来るアストロサイト自体に発現が見られた。現在はノックアウトマウスを用いた解析や結合因子の探索を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述した通り、中大脳動脈結紮モデルにより脳梗塞を作成し、Nogginの発現パターンについて、免疫染色にて解析を行った。その結果、梗塞直後から発現が増え始め、3日目に梗塞巣内の境界部に多く見られ、2週間後にも強く発現が持続した。これはちょうどアストロサイトが侵入して来ない境界部に相当する領域であった。また、様々な細胞種マーカーとの共染色により、この細胞はIba1陽性のミクログリアであることも判明した。さらには、Nogginの発現を可視化するNoggin-GFPマウスを用いて解析を行った結果、梗塞層との境界でシート状に梗塞領域との境界を形成していることも明らかとなった。一方、脊髄損傷におけるアストロサイトの集積・グリア瘢痕形成においては、脳梗塞と同様Nogginの発現上昇が見られるものの、コア領域ではなく、集積して来るアストロサイト自体に発現が見られた。現在はノックアウトマウスを用いた解析や結合因子の探索を進めているところである。 Noggin結合因子の探索としては質量分析プロテオミクスを用いて、5つの因子を同定することができた。方法としては、ラットの脳から超遠心によりシナプトソーム分画を集め、Noggin-Fcと結合する因子をProtein Gを用いることによって精製し、LC-MS/MS質量分析を実施した。3回同様の実験を実施したが、毎回の解析で100種類以上の結合因子を得た。この中から3回の実験による再現性と、膜貫通型タンパク質であることにより、5つの候補遺伝子に絞ることができた。 また、培養細胞を用いてNogginを刺激し、これら5つの候補遺伝子に対する抗体で免疫染色を実施した結果、一部ずつ重なるということを見出した。すなわち、単独因子ではなく、複数の遺伝子が結合因子としてNogginの作用をもたらすのにcontributionしているのではないかと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
Noggin cKOを用いた脳梗塞モデル・脊髄損傷モデルの解析を実施し、形態学的な解析やBMSスコアを測定していく予定である。 一方、当初予定していた結合因子のノックアウトマウスの作成は、Nogginの結合因子が明確な単独因子として見出した場合には大変効果的であるが、今回、複数の結合因子が明らかとなったため、方針を転換する必要が生じた。本年度の方針としては、見出した因子に関して、ノックアウト・ノックダウンして脳梁神経軸索誘導に異常が生じるかを解析する。また、Nogginによる細胞への効果として、リン酸化カスケードに注目したシグナル伝達系路の解析を検討する。具体的にはNogginで細胞を刺激した後、抗リン酸化抗体で免疫沈降し、R3年度で実施したようにProtein-Gカラムを用いて精製し、質量分析を用いて網羅的に同定する。
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Research Products
(6 results)