2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of new function of Noggin, a BMP inhibitor, in cerebral infarction and spinal cord injury
Project/Area Number |
21H02655
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山岸 覚 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (40372362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 淳一 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, ジェロサイエンス研究センター, 研究員 (40568664) [Withdrawn]
福司 康子 静岡大学, 電子工学研究所, 特任研究員 (50722683)
川内 健史 京都大学, 医学研究科, 特任准教授 (60397544)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 脊髄損傷 / Noggin |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞や脊髄損傷が生じるとグリア瘢痕を形成し、やがて囲まれた神経細胞は脱落する。しかしながらこのアストロサイトは梗塞巣周囲部に留まり、なぜ梗塞巣内に入っていくことはない。本研究課題では、骨形成因子(BMP)阻害因子Nogginに注目し、このアストロサイトの移動に関わっているのではないかと考え、その機能の解明に努めている。 引き続き脳梗塞後、Nogginの発現パターンについて、免疫染色にて解析を実施した。その結果、Nogginを発現する細胞は、Iba1陽性の中でもNG2+であることが明らかとなり、Iba1でも梗塞層内にいるものに限られることが明らかとなった。一方、脊髄損傷でもNogginが発現上昇することが明らかとなったが、脳梗塞とは事情が大きく異なり、アストロサイトで発現上昇し、ミクログリアには全く発現していないことが明らかとなった。また、中和抗体を用いて機能阻害実験も実施した(後述)。 また、アストロサイトの培養実験によって、Nogginがアストロサイトに対して強い反発活性を示すことを見出した。また、細胞外で機能すると思われていたが、実際には細胞内へとエンドサイートシスされていることを見出した。昨年同定した結合因子候補遺伝子が受容体として機能しているのではないかと考え、候補である5つの遺伝子について解析を実施した。免疫組織染色により、Noggin陽性小胞のシグナルと一部重なること、中和抗体でNogginへの細胞内における分布局在が変化することを見出した。しかしながら、いずれの候補も受容体も一部しか機能阻害ができず、完全に受容体として同定できるまでの証拠は得られていない。複数の受容体が存在し、機能補填している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Noggin-GFPマウスを用いた解析や免疫組織学的解析により、Nogginの発現パターンについて明らかとなってきており、3日目に梗塞巣内の境界部に多く見られ、上述したが特定のミクログリアで発現が高くなる。ミクログリア自体はペナンブラ領域も含めて広く存在しているため、このポピュレーションの細分化が期待されるが、損傷時に分裂が活発化する単球由来ミクログリアマーカーであるNG2ともよく重なることも明らかとなった。また、興味深いことにこのミクログリアの形態学的特徴も明らかとなり、いわゆるM1、M2と言われているミクログリアのタイプとは異なる形態を取ることも明らかとなった。 アストロサイトに対する反発活性を持っているかという仮説をストライプアッセイを用いて検証したところ、強い反発活性を示すことが明らかとなった。タイムラプスによる解析では、基質としてコートしたNogginを剥がして細胞内に取り込む様子も捉えることができている。また、csf1r-iCre; Noggin lx/lxを用いたcKOマウスによる解析では残念ながら、損傷領域やアストロサイトの局在についてcontrolとの差を見出すことができていない。 一方、脊髄損傷に関しては、ミクログリアにおいてNogginが発現していないため、上述のcKOマウスを用いることができなかった。代わりに、浸透圧ポンプを用いて中和抗体を投与したところ、運動機能の指標であるBMSスコアの回復が悪化することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した通りcsf1r-iCre;Noggin flox cKOマウスにおける脳梗塞モデルでフェノタイプに違いが見られなかったことの原因としては、いくつか考察することができる。①全てのミクログリアで組み換えが起きていない。②機能補完している分子がNogginの他にもある。③ミクログリア以外にNogginを放出している細胞がある。これらのことを明らかにするため、Nogginの分泌が本当にcKOマウスで抑えられているか、組み換え効率はどうなっているのかなど、詳細に解析する必要がある。 また、アストロサイトにおいて反発活性を示す際にはリコンビナントNogginの取り込みが見られたため、各Rabタンパク質に注目し、詳細なエンドサイトーシス経路を明らかにし、これを抑制した際に反発活性が抑えられるのかどうかを解析する予定である。 一方、脊髄損傷を用いた実験においては、中和抗体を投与した際のアストロサイトの特徴が変化するかどうか、アストロサイトで組換わるcKOマウスを用いて解析を実施する予定である。その際に、例えばアストロサイトの増殖や細胞特性について解析を実施していく。 Nogginに対する結合因子の解析は全長をクローニングしてin vitroアッセイを実施し、本当に結合しているかどうかの確認実験を実施していく。
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Research Products
(8 results)