2022 Fiscal Year Annual Research Report
Diversity of fibroblasts brings versatility of organ interstitia
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21H02676
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 教郎 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (20447254)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酸素 / 遺伝子改変マウス / 単一細胞解析 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
間質組織は最大の臓器ともいわれるが、実質組織と比べて実態解明が遅れている。間質を構成する細胞のなかでも、線維芽細胞は臓器構造の支持が主な役割であると考えられてきたが、最近の研究によって多様な機能を有していることや病態と深く関連することがわかってきた。また、1つの臓器に性質や分化系譜の異なる線維芽細胞が混在することが示唆されている。本研究では、マウスの腎臓をモデルとして、間質線維芽細胞の多様性を実証し、その多彩な役割を解明することを目指している。初年度は腎間質線維芽細胞の単一細胞レベルでの網羅的遺伝子発現解析(single-cell RNA-sequencing: SC-RNA-seq)を実施し、複数の細胞集団に細分画化されることを明らかにした。本年度は、SC-RNA-seqのデータを詳細に解析し、腎間質線維芽細胞の各分画が発現する分泌因子、受容体、細胞接着分子を探索した。その結果、赤血球造血因子エリスロポエチンの産生および炎症応答に関与する遺伝子発現に多様性があることを見出した。また、各分画のマーカー遺伝子を同定し、表面マーカー分子に対する抗体がマウス腎臓からの腎間質線維芽細胞分画の単離に有効であることを確認した。さらに、尿管結紮によって腎障害を施したマウスを解析したところ、各分画の炎症応答性が異なることが明らかとなった。一方、個体発生における腎間質線維芽細胞の分化様式を追跡するレポーターマウスを開発したので、腎臓発生における間質線維芽細胞の動態について新知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に得たSC-RNA-seqデータを詳細に解析し、腎間質線維芽細胞は赤血球造血因子エリスロポエチンの産生および炎症応答に関与する遺伝子発現において、性質の異なる細胞集団に細分化されることを示した。また、腎間質線維芽細胞各分画のマーカー分子を同定し、レポーターマウスを用いる必要のない腎間質線維芽細胞の単離法を確立した。さらに、腎臓発生および腎線維化の過程における腎間質線維芽細胞の動態について解析を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得たSC-RNA-seqのデータから、腎間質線維芽細胞の各亜集団のマーカー遺伝子を同定する。マーカー遺伝子の発現を指標として、腎臓発生における腎間質線維芽細胞の発生分化様式を解析する。このとき、腎間質線維芽細胞の各分画の動態の違いについて明らかにする。また、これまでに同定した腎間質線維芽細胞の機能について、その獲得段階を調べることにより、細胞成熟段階を解明する。1例として、エリスロポエチン産性能獲得について解析する。腎間質線維芽細胞のエリスロポエチン産生は、低酸素誘導性因子HIFによって制御されるが、妊娠マウスへのHIF活性化剤の投与によって胎仔腎臓のエリスロポエチン遺伝子発現が誘導されることをこれまでに確認した。また、新生仔の低酸素曝露も腎間質線維芽細胞のエリスロポエチン産生を誘導することを見出した。そこで、上記の解析系を利用して、腎臓発生におけるエリスロポエチン産生細胞の動態解明を試みる。 腎臓が障害を受けると、腎間質線維芽細胞が筋線維芽細胞に形質転換し、腎臓が線維化する。そこで、マウス腎障害モデルを用いて、腎間質線維芽細胞の各亜集団が筋線維芽細胞に形質転換する分子機序を明らかにする。また、腎臓病患者の尿中から腎細胞(尿中落下細胞)を採取し、培養することにより、マウスの解析から明らかになった分子機構について、ヒト腎細胞を用いて検証を進める。
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