2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on activation of norovirus by intestinal factors
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21H02743
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
村上 耕介 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (60586973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 和彦 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (60342903)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ノロウイルス / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス様中空粒子(virus-like particle: VLP)を用いた研究から、ヒトノロウイルスGII.3のカプシドタンパク質VP1にトリプシン切断配列が存在するとの報告があった(Zhang et al, Arch Virol, 2019)。そのため、GII.3は感染性を発揮するために胆汁酸以外の消化管内因子も必要とする可能性が示されていたが、感染性ウイルスを用いた研究はこれまで行われていなかった。そこで我々はトリプシンによるGII.3感染活性化を調べるため、VP1切断に必要なトリプシン有効濃度を予備検討において調べていたことから、本研究ではその知見をもとに進めた。 GII.3陽性糞便検体を10%懸濁液(w/w, in PBS)とし、その遠心上清を多段的にフィルター濾過して、最終的に0.2 μmフィルターを通したものを接種ウイルスとした。HIOへの感染性が有る、あるいは無いGII.3検体を準備し、それぞれにトリプシンを加えて37℃で2時間保温した。その後にトリプシン処理GII.3をそれぞれ腸管オルガノイドに感染させ、24時間後の細胞および培地からRNAを抽出して、リアルタイムPCRにてウイルス量を評価した。 その結果、残念ながらトリプシン消化による感染性の改善は見られなかった。検体量に限りがあることから今回は解析できなかったが、トリプシン処理有無におけるGII.3 VP1の分子量をウェスタンブロットにより確認する予定である。なおGII.3は粒子構造が環境により変化することが示されており、その変化による感染性への影響が示唆されている(Song et al, PLoS Pathog, 2020)。そのため、すでに感染性が確認されているGII.3を陽性コントロールとして用いたが、感染性活性化にはトリプシンだけでなく他の因子も必要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス流行拡大の影響により研究室の使用が制限されたため。また、腸管オルガノイド培養に必要な試薬が入手困難となったこともあり、研究の推進に大きな支障が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
トリプシンによる感染活性化も引き続き検討しつつも、他の消化管内因子による影響を調べる。新型コロナウイルス流行拡大の影響も見つつ、HIO移植マウスの感染に向けた検討を始める。なお、本研究に用いるヒトノロウイルスは糞便検体から分離したものを用いることから、検体確保の準備を進めてきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴ってヒトノロウイルス感染が抑制されたことから、十分な検体量を確保することができなかった。次年度も引き続き検体入手に向けた調整を行う。
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