2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞機能操作ツールを用いた中枢性疾患発症メカニズムの理解
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21H02752
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 隆博 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80615287)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳境界マクロファージ / ミクログリア / 中枢神経系疾患 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
脳や脊髄といった中枢神経系組織には、多様なマクロファージが存在する。実質内に存在するミクログリアに加え、髄膜や血管周囲空間には脳境界マクロファージ(CAMs)が存在し、それぞれの分布領域において重要な役割を担っていると考えらえれる。その遺伝子発現プロファイルの類似性が大きな足枷となり、これまでそれぞれの機能を正確に分けて解析されてこなかった。本研究は、申請者が独自に開発したミクログリアおよびCAMs特異的な遺伝子改変マウスを用いて、それぞれの細胞種特異的機能操作ツールを作成し、中枢神経系疾患発症時におけるミクログリアおよびCAMsの動態や分布、遺伝子発現プロファイルに関する時空間的情報を正確に把握し、それぞれの細胞機能を明確にすることで、中枢神経系疾患発症への寄与に関する理解を深めることを目的とした。 本年度は、特にミクログリアもしくはCAMsの細胞機能を特異的に操作するツール(Cre-loxPシステムを用いた遺伝子制御による機能操作など)の作成を進め、その機能性を確認すること、また新たに開発したfate-mappingツールを用いて中枢神経系疾患時におけるミクログリアおよびCAMsの分布動態を時空間的に解析することを目的とした。その結果、①ミクログリアには影響を与えず、CAMsのみを特異的に消失させることができるツールの開発に成功した。また、神経障害性疼痛モデル動物を用いて解析した結果、予想に反して、CAMsは神経損傷の前後で、その分布パターンに変化は生じなかった。今後は、他の中枢神経系疾患モデル動物を用いた、より詳細な解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた通り、各種疾患モデル動物を用いて、細胞動態解析や遺伝子発現解析に着手することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画からさらに発展し、脳境界マクロファージの存在意義や中枢神経系疾患発症メカニズムの解明に向け、作成した細胞機能操作ツールを用いた包括的な機能解析を進める。
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