2021 Fiscal Year Annual Research Report
トリプレットリピート病のリピート長変動機構解明とリピート短縮治療の基盤確立
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21H02839
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中森 雅之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (60630233)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | トリプレットリピート / 筋強直性ジストロフィー / ハンチントン病 / 脊髄小脳失調症 / 核酸標的低分子 / リピート不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプレットリピート病は、3塩基繰り返し配列(リピート)の異常伸長が原因となる疾患の総称で、ハンチントン病など多くの神経難病が含まれる。これら疾患では、伸長したリピートが長いほど重症となるほか、リピート長は一定ではなく、変動することが知られている。トリプレットリピート病のリピート長変動には、伸長リピートが形成するslipped strand構造に対するDNA修復エラーが関与すると考えられているが、詳細なメカニズムは長らく解明されていない。これまでの検討により申請者は、核酸標的低分子ナフチリジンアザキノロン(NA)がCAGリピートによるslipped strand構造に結合して、ポリメラーゼδ(polδ)複合体によるリピート伸長を抑制し、さらにDNA修復蛋白によるslipped strand DNA切断を調整してリピートが短縮する可能性を見出した。今年度は、疾患の重症度に影響する一塩基多型(SNP)をもつDNA修復蛋白を精製した。それぞれのリコンビナント蛋白をもちいて、ゲルシフトアッセイ(EMSA)によりslipped strand DNAへの結合性を、in vitro repair assayによりslipped strand構造修復機能を解析した。この結果、DNA修復蛋白の標的DNA結合性、slipped strand構造修復に影響を及ぼすSNPを特定した。 トリプレットリピート病では、同一患者でも組織によってリピートの長さが異なるほか、リピート伸長のしやすさも組織ごとに大きく変わる。今年度は患者由来骨格筋および脳組織でのトランスクリプトーム解析により、リピート長変動に影響するDNA修復遺伝子の同定も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リコンビナント蛋白の合成も順調に進んだ。新型コロナウイルス感染症による影響によりin vitro評価系の技術移転に時間がかかったものの、当初予定していたEMSAやin vitro repair assayでの解析も滞りなく進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はDNA修復蛋白によるslipped strand DNA切断に影響を及ぼす多量体形成能について、各多型での評価をおこなう。さらに、リピート長を短縮させるのに重要なslipped strand DNA切断について、その部位や基質となる構造を解明するため、フットプリント法によりヌクレアーゼ活性と切断部位を明らかにする。
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