2021 Fiscal Year Annual Research Report
MR画像誘導と併用可能なリアルタイム陽子線飛程検出法の開発
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21H02859
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松浦 妙子 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90590266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 直樹 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00552879)
高尾 聖心 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10614216)
栗山 靖敏 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (60423125)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 陽子線治療 / イオン音響 / MR画像誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年欧米を中心に普及の進む磁場共鳴(MR)画像誘導X線治療では,従来技術では難しかった照射中の腫瘍や周辺臓器の位置確認が,組織分解能のよいMR画像により可能になり,腫瘍に集中した線量投与が可能になると期待されている.X線よりも線量集中性の高い陽子線においても,更なる副作用の低減を目指して「MR画像誘導陽子線装置」の研究開発が進められており,近い将来に実用化が期待されている.一方で,現在の陽子線治療には「陽子線飛程の不確かさ」の問題があり,本来陽子線治療の長所であるはずの線量集中を阻んでいるが,この不確かさはMR磁場下では深刻化する.なぜなら,磁場の無い場合には陽子線は直進するため,飛程の不確かさは陽子線の進行方向(1方向)のみであるが,MR画像誘導においては,磁場によって陽子線の軌道が曲げられるため,飛程の不確かさが3次元化するためである.この問題に対して,本研究は不確かさをシミュレーションによって定量化し,イオン音響技術を使ったフィードバック機構の初期検討を行う. 令和3年度は,最も単純な体系(一様磁場中に設置された均質な水ファントムに対して陽子線が照射される体系)において磁場が線量分布やエネルギー分布,LET分布にどのように影響するのかを調査し,論文にまとめた(Fujii et al., Med. Phys. 49 (2022)).磁場は陽子線の経路を湾曲させるが,横方向の線量分布形状,特にビーム軸から離れたテール部分の形状やエネルギー分布,LET分布にも大きく影響を与える.同論文では,線量分布とLET分布の横方向の非対称性に強い相関があることを見出した.また,磁場の有無によって飛程の不確かさがどのように変化するかについて,上記の単純体系でモンテカルロシミュレーションを用いた調査を開始し,単純なケースにおいて定式化した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では今年度にイオン音響実験を実施する予定であったが,新型コロナ感染症の影響によって一部の実験実施が遅れている.このため実験に要する旅費等の費用について繰り越しを行った.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は本年度に初期検討を行った体系を更に発展させ,より現実的なMR磁場や照射ノズル体系を想定し,飛程の不確かさの3次元的な定量化を行う.MR磁場下の陽子線照射と音響波伝搬シミュレーションを統合したシミュレーションシステムを構築し,磁場の有無による音響信号の変化について明らかにする.また,検出器の体表への配置を想定し,検出器に求められる性能要件を検討する.体内と音響インピーダンスを整合させるためのセンサーヘッド形状について実験データを解析しながら検討を行う.
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