2021 Fiscal Year Annual Research Report
フェムトモル超高感度電気分析を用いたAc-225系列核種オンライン分析法の開発
Project/Area Number |
21H02863
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白崎 謙次 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (70447176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊永 英寿 東北大学, 電子光理学研究センター, 准教授 (00435645)
近藤 創介 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10563984)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Ac-225 / 微小電極 / 電気化学測定法 / 放射線測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
3つのテーマについて実施した。テーマ1は「収束イオンビーム超微細加工装置(FIB)を用いた最適形状・材質の微小電極の作製」であり、テーマ2は「微小電極を用いた放射性物質使用環境下での電気化学測定」、テーマ4は「Ac-225分離精製法の最適化」である。 テーマ1では、マイクロバンド型、ナノピペット型の微小電極を、FIBを用いて作製することを当初予定した。試作を進める上で、マイクロバンド型は加工時間が長くなる、つまり高コストであることが判明し、より単純な形状を初期検討として行なう方針に変更することを決めた。一方、ナノピペット型については、FIBでは形状を再現することが難しいことが判明した。 テーマ2では、フローセル対応のファラデーゲージを、スチールボックスを用いて作製した。次に、希薄な金属イオン水溶液を用いたサイクリックボルタンメトリーによる測定を行った。市販櫛形電極を用い、アクチニウム-225の崩壊系列核種が属する元素であるビスマス、鉛、タリウムについて、中性水溶液中の電極応答を調べた。測定濃度範囲がマイクロモルレベルではノイズの影響は無視できるが、より低濃度になるとノイズとの判別が難しく、電極とファラデーゲージ両方の改良が必要と考えられた。 テーマ3では、Ac-225の分離精製(Ra-225とAc-225を分離する操作)時に硝酸水溶液と塩酸水溶液の場合で、Ac-225の収率に大きな影響がないことを確認した。さらに、カラムから流出した樹脂成分を処理する方法を検討した。その結果、過塩素酸の白煙処理による有機物分解が標識率向上に有効であることが判明した。溶離液のガンマ線測定及びアルファ線分光測定によるAc-225試料中の放射能評価を実施したところ、親核種であるTh-229の存在は確認できない。ただし、ICP-MSを使った実験が未実施なので、その結果を含めて再度評価が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テーマ1では、幾つかの形状の微小電極を、FIBを用いて作製することを当初予定した。試作を進める上で、より単純な形状を初期検討として行なう方針に変更することを決めた。一方、ナノピペット型については、FIBでは形状を再現することが難しいため、FIBを使用せず、別の方法を模索することを決定した。初期形状として、単純に微小平面電極を作製する方針を決定し、ベースとなるガラス基板上に金及び炭素蒸着膜を形成した電極材を作製しているところである。 テーマ2では、市販の微小電極を用いて、希薄金属イオン溶液の電気化学測定により、製作したフローセル対応のファラデーゲージのノイズ除去性を評価し、装置電源を含めた測定系全体の低ノイズ対策を行い、最終的にテーマ1で作製した微小電極を用いてノイズS/N比評価を行う計画であった。フローセル対応のファラデーゲージを、スチールボックスを用いて作製し、希薄な鉛、ビスマス、タリウム等の水溶液を用いたサイクリックボルタンメトリーによる測定を行った。現在、ファラデーゲージの更なるノイズ低減対策を実施しているところである。 テーマ4では、分離精製時に液性とイオン交換樹脂の組み合せを変えたAc-225試料溶液を用いて、放射能測定による分離核種の評価を行い、減衰後のAc-225試料溶液のICP-MSによる質量分析を行い、(準)安定核の存在量から壊変核種の物質量を推測する計画であった。Ac-225とRa-225をTh-229からミルキングにより分離する操作について、陰イオン交換樹脂の違いについて確認した。Ac-225分離精製後にカラムから流出した樹脂成分を処理する方法を検討した。減衰後のAc-225試料溶液についてICP-MSの分析試料を作成したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのテーマ1、2、4に加え、テーマ3「超高感度電気分析の実証」に着手する。 テーマ1では、前年度に引き続きマイクロバンド型の微小電極を、FIBを用いて作製する。ガラス基板に金または炭素を成膜、b.絶縁膜を積層、c.電極パターン部分の絶縁皮膜をFIBにより除去、d.測定器端子と接続の工程で作成する方針である。また、ナノピペット型の微小電極を、カーボンナノチューブ(CNT)を用いて作製する。a.タングステン線をCNTが分散した溶媒に接触させ、b.電圧印加、c.タングステン線の引き上げ及びCNT接合部の補強、d.測定器端子と接続。作製した電極をテーマ3にて使用、問題点をフィードバックし、最適形状・ 材質を決定する。 テーマ2では、前年度に未達であったフローセル対応のファラデーゲージのノイズ除去性能の検証を行う。 テーマ3では、電極触媒増幅法を用いた鉛イオン検出を試みる。 テーマ4では、前年度未達であった減衰後のAc-225試料溶液のICP-MSによる定量分析を行い、(準)安定核の存在量から壊変核種の物質量を推測する。
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