2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanism of ultra-high dose rate cancer therapy - FLASH
Project/Area Number |
21H02874
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
小平 聡 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, グループリーダー (00434324)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川原 亮 京都大学, 化学研究所, 助教 (00807729)
楠本 多聞 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, 主任研究員 (90825499)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 超高線量率放射線治療 / 放射線化学分解 / ラジカル / 電子線 / 陽子線 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線照射により水溶液中で発生する放射線分解生成物の一つである水和電子ならびに過酸化水素の収率の照射線量率依存性について陽子線ならびに電子線を用いて実験的に調べた。量子科学技術研究開発機構の大型サイクロトロンの火災事故により停止状態であるため、フランス国立科学センターユベールキュリアン学際研究所のサイクロトロン(CYRCe)を活用した25 MeV陽子線の照射を実施した。また、京都大学化学研究所の線形加速器を用いて20 MeV電子線の照射を実施した。ラジカル同士の再結合によって生成が予測される過酸化水素(*OH + *OH → H2O2)の定量をゴームレー法ならびに電気化学検出法により行った。メタノール及び硝酸ナトリウムの混合水溶液を用いた実験を実施することで、照射後の水和電子及びOHラジカルによる過酸化水素の分解を防ぐことが可能である。参照実験として純水を用いた照射実験も行った。純水に陽子線ならびに電子線照射を照射すると、過酸化水素の収率は線量率の増加に伴って減少する。これは先行実験によって示された傾向と一致するものであり、過酸化水素が隣接するトラックから生成した水和電子やOHラジカルと反応し、分解が進んだものと考えられる。これと比較してメタノール及び硝酸ナトリウムの混合水溶液を用いた場合、過酸化水素の収率は線量率の増加に伴って単調に増加した。間接作用を支配しているOHラジカル同士の再結合が高線量率領域で促進され、間接作用を低減させたことを示すエビデンスと考えられる。今後、水和電子との反応を切り分けた測定を進めるとともにデータの再現性の確認を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在故障中の陽子線照射用のサイクロトロンの代替となるフランスのサイクロトロンを活用した照射体系を構築でき、水溶液中に生じる放射線分解生成物の線量率依存性の測定を予定通り進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って、水溶液中に生じる放射線分解生成物の線量率依存性とLET依存性の検証を進め、モンテカルロシミュレーションとの比較を今後実施する予定である。また、高エネルギーの陽子線(230 MeV)を用いた照射実験を新たに住友重機械工業株式会社と共同で進める予定である。
|