2021 Fiscal Year Annual Research Report
Bidirectional cellular signaling between microbeam targeted cancer cells and normal cells.
Project/Area Number |
21H02875
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
小西 輝昭 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (70443067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 亮一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 主幹研究員 (90435701)
大澤 大輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主任研究員 (90324681)
小林 亜利紗 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 研究員 (30773931)
劉 翠華 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 主任研究員 (00512427)
楠本 多聞 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, 主任研究員 (90825499)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイクロビーム / 低酸素 / バイスタンダー効果 / 細胞間情報伝達 / 陽子線 / α線 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線誘発バイスタンダー効果は、照射細胞から近傍の非照射細胞へのシグナル伝達によってさまざまな細胞応答を引き起こす。放射線に対する生存戦略の一つとして照射細胞とバイスタンダー細胞の細胞間での防御応答機構の活性化が放射線抵抗性や転移能の獲得などを誘導すると考えた。マイクロビームを用いてがん細胞にのみ照射を行い、異種細胞間(がんと正常細胞の共培養)環境や低酸素環境における細胞応答とその分子機構の解明を目的とした。さらに、本課題では、がん患部を細胞レベルで模擬するために、低酸素環境下における放射線誘発バイスタンダー応答解析を解析する。そのため、低酸素環境での細胞試料の作成、培養および処理を可能にするために、低酸素ワークステーションを導入した。また、低酸素環境下(酸素濃度1%)でのライブセル観察を実現するための顕微鏡システムの整備を実施した。次に、高分解能なマイクロビーム細胞照射を実現するために、新規にマイクロビーム専用の細胞皿の設計を開始するとともに、既存のステージならびにマイクロビーム顕微鏡系の最適化を検討した。本研究課題で用いるヒト肺がんA549細胞とヒト肺正常TIG1細胞の低酸素環境下での培養条件のデータの収集を開始した。 また、低酸素環境下の培養細胞のエネルギー代謝は解糖系が亢進し、乳酸が蓄積するため細胞内pHが低下することが知られている。このような低酸素環境下特異的な細胞応答のライブセル観察実現するために、pHに応じて青色から緑色に変化する蛍光を有するウミサボテン由来GFPを安定発現する細胞株を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題に必須となるマイクロビーム細胞照射装置ならびにその付帯設備である顕微鏡システムが故障し、修理に必要な部品調達に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト肺がんA549細胞とヒト肺正常TIG1細胞の二種類の細胞株を用いる。2021年度に導入した、低酸素ワークステーションおよびマルチガスインキュベータ等を用いて、マイクロビーム照射実験のための細胞培養、試料作成条件の最適化を行う。また、異種細胞間(がんと正常細胞の共培養)環境や低酸素環境における細胞応答とその分子機構の解明するために、酸素環境下と低酸素環境下の両方でのライブセル観察かつ照射後48時間後までのタイムラプス観察を可能にするために顕微鏡システムの整備を進める。その上で、まずは、A549細胞とTIG1細胞それぞれでの放射線誘発バイスタンダー効果について、酸素環境下と低酸素環境下で培養した細胞に対して、マイクロビーム照射を実施し、細胞致死、微小核形成、ならびにDNA二本鎖切断誘発を解析する開始する。さらに、陽子線マイクロビーム細胞照射装置であるSPICEの高度化を進め、より酸素増感効果を受けにくい5.1MeVα線のマイクロビーム(SPICE-α)の開発を進める。
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