2023 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫シグナル経路を介した造血器腫瘍制御機構の統合的解明と治療応用
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21H02946
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
武藤 朋也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (90723560)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
TRAF6は、自然免疫シグナル経路において中心的役割を担っているE3ユビキチンリガーゼである。骨髄系腫瘍において、がん促進的とがん抑制的にも機能すると報告されており、その役割は複雑である。申請者が本研究を進める過程で、自然免疫シグナル経路による典型的な役割である炎症亢進ではなく、代謝制御を介したメカニズムがTRAF6を介した白血病の病態機序に重要な役割を果たしていることを見出した。本研究では、この点に注目し、さらなる分子メカニズムの解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Traf6欠損マウスを用いたMLL-AF9白血病マウスモデル、ならびにTRAF6欠損ヒト白血病細胞株を用いてTARF6の白血病におけるoncogenicな役割を明らかにした。これらのモデルと白血病臨床検体の遺伝子発現情報のデータベースを用いて解析した結果、ミトコンドリア機能関連の遺伝子発現の変化が認められた。実際、TRAF6欠損白血病細胞株においてミトコンドリア呼吸能低下、ATP産生能低下、ミトコンドリア膜電位低下が認められた。また、メタボローム解析により広範な代謝中間産物の低下がTRAF6低下により引き起こされることが判明した。これらにより、自然免疫シグナルによるダイナミックなエネルギー代謝制御と白血病の病態への関与が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、TRAF6を介した代謝制御に寄与する重要な分子機序としてO-GlcNAcタンパク修飾に注目している。O-GlcNac修飾を付加する酵素であるOGTならびに除去する酵素であるOGAに介入し、TRAF6を介した代謝状態への影響を検証することで、TRAF6/OGT/O-GlcNAc経路の白血病病態への重要性を検証する。
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[Presentation] TRAF6による代謝恒常性制御は白血病進展に寄与する2023
Author(s)
松井愼一郎, 李千尋, Lyndsey C Bolanos, Kwangmin Choi, 柴宮明日香, 石井改, 高石浩司, 大島渚, 塚本祥吉, 竹田勇輔, 三村尚也, 横手幸太郎, Daniel T. Starczynowski, 堺田惠美子, 武藤朋也
Organizer
第58回臨床分子医学会学術集
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[Presentation] TRAF6による代謝恒常性制御は白血病進展に寄与する2023
Author(s)
松井愼一郎, 李千尋, Lyndsey C Bolanos, Kwangmin Choi, 柴宮明日香, 石井改, 高石浩司, 大島渚, 塚本祥吉, 竹田勇輔, 三村尚也, 横手幸太郎, Daniel T. Starczynowski, 堺田惠美子, 武藤朋也
Organizer
第85回日本血液学会学術集会
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[Presentation] Regulation of Metabolic Homeostasis By TRAF6 Contributes to the Leukemia Progression2023
Author(s)
Matsui S, Ri C, Bolanos L, Choi K, Shibamiya A, Ishii A, Takaishi K, Oshima-Hasegawa N, Tsukamoto S, Takeda Y, Mimura N, Yoshimi A, Yokote K, Starczynowski D, Sakaida E, and Muto T
Organizer
66th ASH Annual Meeting
Int'l Joint Research