2022 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト3次元軟骨組織モデルによる新規軟骨特異的分子の同定と軟骨分化制御機構の解明
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21H03054
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 晃弘 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00636855)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軟骨 / 骨代謝学 / 再生医学 / 幹細胞 / 遺伝子改変 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節軟骨は骨端に位置し、円滑な関節運動を担っている。その損傷や老化は変形性関節症(OA)と呼ばれる運動機能障害を引き起こし、Quality of Life (QOL)が著しく損なわれる。しかし現在有効な治療薬はない。その要因として、1)有用なヒトモデル系が存在しないこと、2)軟骨の発生・成熟・老化の機序を網羅的、総合的に解析した例が少なく、未だ同定されていない軟骨特異的分子が多く存在する可能性があることが挙げられる。本研究の主たる目的は、新たなOA治療法の開発を目指し、iPS細胞技術を利用したヒト3次元軟骨組織モデルを構築し、網羅的探索にて同定した新規軟骨特異的分子の軟骨分化制御機構を分子レベルで解明することである。 次年度である2022年度は作製した遺伝子改変マウス(ノックアウト)と遺伝子改変iPS細胞を用いて以下の実験を行なった。 1) 遺伝子改変マウス(ノックアウト) の解析 : 作製した遺伝子改変マウス(ノックアウト)の組織解析とsingle RNA seq(scRNA-seq)を行なった。scRNA-seqについては今後発現変動遺伝子を元にGO解析や上流解析を行いメカニズムの解明を行う予定である。 2) 遺伝子改変iPS細胞の軟骨組織への分化誘導 : 遺伝子改変iPS細胞由来軟骨は遺伝子改変マウスから採取した初代軟骨細胞と同様に分化誘導過程で成長因子に反応し遺伝子発現が反応することを見出した。ヒトモデルとして今後詳細に解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる目的は、新たなOA治療法の開発を目指し、iPS細胞技術を利用したヒト3次元軟骨組織モデルを構築し、網羅的探索にて同定した新規軟骨特異的分子の軟骨分化制御機構を分子レベルで解明することである。この目的の中で次年度である2022年度では1) 遺伝子改変マウス(ノックアウト)の表現系の確認、2)scRNAseq解析、3) 遺伝子改変iPS細胞由来軟骨と遺伝子改変マウス初代軟骨細胞を用いたメカニズムの解明の一部、まで進めることが出来た。 予定していた薬剤探索については、当初ヒトiPS細胞へLuciferase Assay やReporter gene assay systemを導入し、薬剤スクリーニングの実験系を立ち上げる予定であったがscRNAseq解析の上流解析を行うことにより対象となる化合物も検索できる事が判明し、中止とした。予定を変更したものの代替法で十分に対応できるため、進捗はおおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主たる目的は、新たなOA治療法の開発を目指し、iPS細胞技術を利用したヒト3次元軟骨組織モデルを構築し、網羅的探索にて同定した新規軟骨特異的分子の軟骨分化制御機構を分子レベルで解明することである。初年度に1つの候補遺伝子を同定することが出来た。次年度はKOマウスの解析と遺伝子改変iPS細胞由来軟骨の解析を行うことができた。本年度はsingle RNA-seq解析から得られた結果を元に軟骨細胞分化の分子機序を解明することを目指す。さらに変形性関節症モデルマウスを作成を開始し、最終年度に向けて治療薬の効能を調べる準備を進める。
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Research Products
(1 results)