2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of germ cell niche for xenogeneic transplantation
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21H03071
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
横西 哲広 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (40881008)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 精子形成 / セルトリ細胞 / 精子幹細胞 / 妊孕能 |
Outline of Annual Research Achievements |
12ヶ月以上、性行為を続けても産子が得られない場合を不妊症とWHOは定義している。現代の生殖年齢カップルの約8-12%が不妊症とされ、世界の疾病負担研究(Global Burden of Diseases; GBD)では、1990年から2017年の年齢調整有病率は女性0.37%、男性が0.291%と上昇傾向であると報告されている。この男性不妊をきたす原因の半数が特発性造精機能障害である。造精機能障害は生殖細胞自身か、精子形成を支持する精巣体細胞の機能不全による。精巣体細胞の中で、セルトリ細胞は精細管内に唯一存在する体細胞であり、直接生殖細胞を機械的に支持し、栄養を受け渡す重要な細胞である。Sl/SLdマウスのように、セルトリ細胞の機能障害は男性不妊を発症させる。 われわれは医療用薬品として使用されているベンザルコニウム塩化物がマウスのセルトリ細胞を除去することを見出した。さらに、BCによるセルトリ細胞除去後に別の個体から分取したセルトリ細胞を移植したところ、宿主の精子形成を支持した。この方法を用いて、セルトリ細胞機能不全疑いの男性不妊患者に対し、BCによってセルトリ細胞を除去し、健全なセルトリ細胞を患者の体細胞から分化誘導して移植すれば男性不妊の治療法となる。本薬剤はすでに医療応用されており、臨床への障壁が小さいことが期待された。本研究では本学附属病院で手術、摘出されたヒト精巣組織を各濃度のBCに反応させたのちに培養し、組織学的に評価した。その結果、精原細胞を残したままセルトリ細胞を効果的に除去する条件を見出せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に用いるヒト精巣組織は、本学泌尿器科の協力のもと、附属病院で手術されれる患者から頂いている。残念ながら昨年は手術件数が少なく、培養条件や評価するサンプル準備の検討が進まず、進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトセルトリ細胞を除去するBCの濃度を見出した。しかしながら、長期の精巣への影響やライディッヒ細胞を含めた精巣体細胞への影響を検討する必要がある。具体的には長期間培養後の各細胞の各細胞のポピュレーションやホルモン産生機能を評価する。
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