2021 Fiscal Year Annual Research Report
末梢前庭系ー中枢神経系のクロストークに着目した前庭性片頭痛の病態解明
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21H03083
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 千里 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60581882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 真一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10359606)
安部 力 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10585235)
鴨頭 輝 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (30807152)
森田 啓之 東海学院大学, 健康福祉学部, 教授(移行) (80145044)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 前庭 |
Outline of Annual Research Achievements |
片頭痛に関連するめまい症状を有する患者群に対して、近年、前庭性片頭痛という疾患概念が提唱された。しかしながら、主病変と考えられる前庭障害と前庭性片頭痛の病態との関連は明らかになっていなかった。申請者は、卵形嚢眼反射系の機能を反映する前庭誘発外眼筋電位検査において、前庭性片頭痛確実例の方が前庭性片頭痛疑い例よりも、有意に異常所見を呈することを示し、前庭性片頭痛の病態と卵形嚢眼反射系の機能障害との高い関連性を報告した。本研究課題は、前庭性片頭痛の分子メカニズムにおける最大の謎である「前庭障害と片頭痛の病態のリンク」を解明すること、そして、前庭性片頭痛の新規バイオマーカーを発見し新規治療の開発を目指すことを目的とする。 本年度は、卵形嚢感覚上皮培養細胞UB/UE-1を、冷感疼痛刺激物質イシリンで処理し、Cell Counting Kit-8(CCK-8)による生細胞数測定系、および、トリパンブルー染色による死細胞率測定系を確立した。現在、様々なイシリン濃度・処理時間にて、解析を行っているが、CCK-8を用いたassayでは、ある条件にて生細胞数の軽度の低下を示し、トリパンブルー染色では、ある条件にて死細胞率の軽度の増加が確認されている。 UB/UE-1の生細胞数の低下が示されたイシリン処理条件にて、UB/UE-1細胞のRNAを抽出し、サンプルのquality checkを行い、問題ないことを確認した。現在、RNAシークエンス解析を行っている。また、培養液のエクソソームを抽出し、ナノサイト解析を行い、粒子数が十分であることを確認した。現在、エクソソームの網羅的解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵形嚢感覚上皮培養細胞UB/UE-1を、冷感疼痛刺激物質イシリンで処理し、細胞生存能力測定・細胞毒性測定系が確立された。イシリン処理により、生細胞数の軽度低下、死細胞率の軽度上昇が示された。生細胞数が低下した条件にて、RNAシークエンス解析、エクソソーム解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
イシリン処理UB/UE-1細胞のエクソソーム解析により、miRNAのプロファイリングを行い、ボトムアップシグナルメッセンジャーとして重要な役割を果たす可能性のあるmiRNAを探索する。また、イシリン処理UB/UE-1細胞のRNAシークエンス解析を行い変動遺伝子を抽出し、Gene ontology解析、パスウェイ解析を実施する。 イシリン処理UB/UE-1細胞のアポトーシスの誘導を、Annexin V/PIの免疫染色による発現とwestern blotによるcleaved-caspase-3, cleaved PARPの発現により確認する。さらに、western blotによって、細胞興奮マーカーc-fosとp-ERKの発現検討を行い、細胞興奮シグナル伝達について確認する。 ラット前庭神経節初代培養細胞と株化シュワン細胞IFRS-1との共培養を、接続式細胞培養容器NICO-1にて行う。このモデルにイシリン処理を行い、前庭神経における細胞障害とエクソソーム遊離について解析するため、同じく生細胞・死細胞の評価、細胞興奮の評価、アポトーシスの評価、エクソソーム解析を行う。 さらに、臍帯静脈内皮細胞HUVECにイシリン処理したUB/UE-1細胞および前庭神経節細胞から抽出したエクソソームを暴露させ、一酸化窒素濃度を測定し血管拡張の評価を行う。また、アストロサイト培養細胞KT-5にイシリン処理したUB/UE-1細胞および前庭神経節細胞から抽出したエクソソームを暴露させ、脳内炎症の評価を行う。
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