2021 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現シグネチャーによる頭頸部癌局所リンパ構造の免疫・ニッチ機構の解明
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21H03085
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
脇坂 尚宏 金沢大学, 医学系, 准教授 (70377414)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 遺伝子発現シグネチャー / 局所リンパ構造 / 免疫 / ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
中咽頭癌原発巣摘出標本では腫瘍の周辺に扁桃組織が付着し、HE染色を参考に腫瘍組織と扁桃組織をマクロディッセクション法で分離しやすい。一方、口腔癌では腫瘍胞巣周囲に三次リンパ様構造が存在し、リンパ組織を抽出するためにはレーザーマイクロディッセクション法で行う必用がある。 そこでまず、研究を行いやすい中咽頭癌原発巣摘出標本について、1)摘出全標本、と2)周辺の扁桃組織のみ、についてそれぞれ免疫関連因子のmRNAの発現レベルを解析した。まず、初期解析として8症例を頸部リンパ節転移の有無により2群に分けた。1)摘出全標本から抽出したRNAについて転移の有無で免疫関連因子mRNAの発現をマイクロアレイ法で解析した結果、発現プロフィールの相違は認められなかった。一方、2)周辺の扁桃組織のみを切り出してRNAを抽出し、同様にmRNAの発現レベルを解析したところ転移の有無によって1)摘出全標本で比較した場合よりも明らかに多くの相違を認めた。発現プロフィールから、転移無し症例では有り症例と比較して、扁桃組織での免疫能が保存されていることが示唆された。この結果は、頭頸部癌の転移に関わる免疫環境を理解するために、本研究のテーマである癌周辺扁桃組織の解析が有意義であることを支持する結果となった。 口腔癌についても研究を開始した。CD20を標的として免疫染色を行い、その結果、三次リンパ様構造の同定が可能であり、レーザーマイクロディッセクション法での標本採取が可能と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロディッセクションで扁桃組織の切り出しが可能な中咽頭癌組織での初期解析の結果、現状の方法で有意義な成果が得られる可能性が高いことが判明した。 されに、口腔癌でも三次リンパ様構造の抽出が可能であることが判明した。 これらの結果から、今後、症例数を増やして解析していくことで、成果が得られる確信が得られた。 以上から、研究は「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は中咽頭癌を中心に症例数を増やして、マイクロアレイ法による解析を進めていく。Bioinformaticsの手法で、転移を抑制・促進する因子・経路を同定する。口腔癌でもレーザーマイクロディッセクション法で三次リンパ様構造を抽出し、同様にマイクロアレイ法による解析を進めていく。 これらの結果に基づいて、転移の促進・抑制に関わる抽出した因子について、免疫染色により蛋白の発現レベルや局在、加えて発現免疫細胞の種類等について検討を進めていく。 さらには臨床的に転移を認めない症例について後発転移の予測が可能か、など、臨床応用の可能性を念頭に研究を発展させていく。
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Research Products
(5 results)