2022 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現シグネチャーによる頭頸部癌局所リンパ構造の免疫・ニッチ機構の解明
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21H03085
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
脇坂 尚宏 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (70377414)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 遺伝子発現シグネチャー / 局所リンパ構造 / 免疫 / ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
1)中咽頭癌原発巣摘出標本では腫瘍の周辺に扁桃組織が付着し、HE染色を参考に腫瘍組織と扁桃組織をマクロディッセクション法で分離しやすい。2)一方で当初の課題としてレーザーマイクロディッセクション法による組織の抽出も必要であった。 そこでまず1)の対策として中咽頭癌原発巣摘出標本について、周辺の扁桃組織のみを抽出してマイクロアレイ法によるmRNAの解析を行った。27症例を頸部リンパ節転移有りの7症例と無しの20症例の2群に分けて解析した。その結果、転移無し群では有り群と比較して、有意に免疫促進関連遺伝子の発現が多く保たれていることが判明した。この結果から、中咽頭癌の扁桃組織の解析により免疫促進関連遺伝子の発現を比較することで、センチネルリンパ節生検と同様に転移の有無の判定が実際にできると考えられた。 次に2)の対策として、マイクロディッセクション法に代わる方法として、GeoMx Spatial Profilerによる解析を導入した。合計6症例についてそれぞれ6カ所リンパ領域と腫瘍領域、合計72領域について解析した。6症例の内訳は転移有り・無しがそれぞれ3例、HPV関連腫瘍はそれぞれに2例含まれている。現在、そのデータについてmRNAの発現解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロディッセクション法による解析をGeoMx Spatial Profilerによる解析に切り替えたことは、研究の進捗状況の改善をもたらした。 マクロディッセクション法により標本を抽出したマイクロアレイ法でも仮説通りに有意義な結果が得られた。 以上から、研究は概ね順調に推移している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は中咽頭癌を中心に症例数を増やして、マイクロアレイ法による解析を進めていく。Bioinformaticsの手法で、転移を抑制・促進する因子・経路を同定する。 口腔癌でもレーザーマイクロディッセクション法で三次リンパ様構造を抽出するよりは、GeoMx Spatial Profilerによる三次リンパ様構造の抽出を試みる。 これらの解析結果に基づいて転移の促進・抑制に関わる抽出した因子をもとに、Keyとなる因子をさらに絞り込んでいく。最終的には転移の有無を判定するための遺伝子シグネチャーを確立する。また、免疫染色により蛋白の発現レベルや局在、加えて発現免疫細胞の種類等について検討を進めていく。 さらには臨床的に転移を認めない症例について後発転移の予測が可能か、など、臨床応用の可能性を念頭に研究を発展させていく。
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Research Products
(5 results)