2022 Fiscal Year Annual Research Report
好中球と関連miRNA発現制御による創傷治癒遅延機構の解明と革新的治療法の開発
Project/Area Number |
21H03100
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
梅原 敬弘 産業医科大学, 医学部, 准教授 (60617421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 憲穂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (30448493)
村瀬 壮彦 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40823315)
田中 克己 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (70244069)
池松 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
佐藤 寛晃 産業医科大学, 医学部, 教授 (50441845)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / microRNA / 糖尿病 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
創傷治癒過程の異常を病態の一つに持つ疾患は複数存在し、その発症率は加齢に伴い増加する。しかし、未だそれらの疾患に対する有効な治療法は確立されておらず、新規治療法の開発が求められる。これまで、治癒遅延を惹起する糖尿病(DM)性創傷では炎症期で活性化する好中球が機能異常を起こしていることを明らかにし、その原因はmicroRNA-129-2-3p(miR-129)発現レベルの低下による生物学的プロセス障害の可能性を示した。また、miR-129発現レベルの回復が治癒遅延を改善する効果があることを明らかにした。先行研究により、microRNA(miRNA)発現はcircularRNA(circRNA)に制御されている可能性が示唆されている。そこで、本研究ではmiR-129発現制御のメカニズムを解明するべく、DM由来好中球特異的に発現するcircRNAの網羅的発現解析をマイクロアレイを用いて行った。その結果、miR-129の結合配列を2箇所持つcircRNA発現がDM由来好中球で有意に増加したことをqRT-PCRを用いて確認した。このcircRNAは、miR-129と逆の発現パターンを示しているため、DM由来好中球におけるmiR-129発現は、circRNAによって制御されている可能性が示唆された。従って、このcircRNA-miR-129発現制御による創傷治癒促進効果の検討が次なる課題である。 並行して、創傷治癒過程の異常を病態の一つとするDM以外の疾患において、次世代シーケンス(NGS)を用いた疾患由来好中球特異的に発現するmiRNAの網羅的発現解析を行った。この研究で得られた知見から、疾患の重症度によりmiRNA発現パターンが変化することが疑われた。そこで、現在、疾患の重症度(罹患してからの経過時間)の違いによる疾患マウスモデルを作製し、NGS、qRT-PCR等を用いたmiRNAおよびmRNAの網羅的発現解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた実験は、6割程度の進展であったが、来年度に予定していた実験の一部を行うことができたため、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
創傷治癒の異常を病態にもつ疾患のキーとなる細胞において、分子生物学的手法を用いて、重症度の違いによるcircRNA-miRNA-mRNAの相互作用をとらえ、創傷治癒遅延を惹起する分子メカニズムの破綻を捉える。また、創傷治癒遅延を改善するキー分子となりうるかを検討するために、重症度が異なる疾患マウスモデルにおいて創傷治癒促進検討を行う。創傷治癒促進検討においては他機関と共同で遂行する予定である。
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